■part 9■ センター試験後の進路指導
志望校変更の最終的決断は生徒に任せる
センター試験翌日の自己採点は慎重に行わせる。出願の正確な判断材料とするため、採点ミスに注意し、誤差を最小限にとどめさせる。合格可能性判定のために記入する志望校はあらかじめ決めた大学名を書くよう強く言っておく。結果が良かったからと難関大ばかり並べたり、悪かったからと志望ランクを落とす生徒もいるが、それでは国公立大の出願指導の指針が出ない。
合格可能性判定が返ってきたら、受験校決定のための最終面談となる。特に時間をかけたいのは、志望校を変更するかどうか決断を迫られている生徒だ。担任にとってもその見極めが難しいケースが多々ある。判定が微妙な生徒の場合、今まで通りの志望校でいくか、新たな別の大学にするかは、模試結果、前年度の合否状況、教科担当の意見などを総合して判断したい。
志望校変更を余儀なくされる生徒もいる。単に志望校変更を勧めず、教師の意見やデータを交えながら話を進める。その際、「A大学は無理。B大学の方がいい」と直接的な言い方ではなく、「一つの意見として聞いてほしい。A大学もよいかも知れないが、B大学もきみのやりたいことが実現できる大学だと思う。もちろん、最終的にはきみが判断することだよ」と、生徒が自信を失わないよう、表現に配慮したい。
図 ● 2001年度センター試験後のスケジュール
いずれにせよ、生徒は面談の場ですぐ結論を出せるものではない。教師の意見のほか、判断材料として合否判定の度数分布表、「COMPASS」のような志望校検索システムの結果などを見せて、2校から数校の候補を挙げ、生徒が判断できるようにもっていく。決断は生徒自身に任せ、家族とよく話し合って決めるように、と考える時間を与えたい。また、候補となった大学の願書は早急に取り寄せさせる。
面談の前に、学年団が集まり、生徒個々について指導方針を決める検討会を開く方法もある。その生徒について担任一人では判断が難しいケースでも、複数の教師の目を通すことで、より適切な判断が下せる。忙しいこの時期に検討会を開くのは簡単なことではないが、実施しただけの効果は期待できるだろう。
私立大合格後も受験への意欲を最後まで引っ張る
2月上旬から私立大の合格発表が始まる。国公立大が第一志望の生徒も、私立大に合格すると受験への意欲や緊張感が薄れることがある。最後の試験まで生徒を引っ張っていくには、第一志望校への憧れをかき立てておく必要がある。また、保護者が「合格した私立大でもいい」というようなことを言うと、生徒は一気に意欲をしぼませてしまうことがある。最後までやる気を保たせるように、あらかじめ保護者にはお願いしておきたい。
また、生徒が合否結果を知らせてこないこともある。教師の方から電話をしてみると「全部落ちました」というケースもある。他の日程や二次募集など、まだ間に合うのに、連絡してこないばかりに受験の機会を逸してしまうこともある。入試結果を必ず担任に報告するよう、生徒に事前に注意しておきたい。
図 ● COMPASS(志望校検索システム)
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