■part 7■ センター試験当日の心構え
目標点を意識しすぎず失敗しても気持ちを切り替える
試験当日の注意点には、目標点に捕らわれすぎないということがある。生徒は科目別に目標点を設定しているはずだが、試験中にそれを意識しすぎると、かえって失敗する危険がある。例えば英語の目標点を140点にしている生徒が、予想で120点しか取れなかったとする。その年の英語は難易度が高く、平均点が100点だったとしたら、その生徒は本当は善戦していることになる。難しい問題なら他の生徒もできていないことが多いのに、本人は目標点より低いことにショックを受け、第1日目から焦ってしまう。「英語の失敗を他の科目で取り返さなければ」と自分にプレッシャーをかけ、かえって実力を発揮できないことがある。
いざ本番が始まったら、目標点を意識しすぎず、目の前の科目に集中することが大切だ。そのことを事前によく言い聞かせておきたい。失敗したと思ってもくよくよせず、気持ちを切り替えて次の科目に臨むよう指導する。同じ理由から、自己採点は2日間の試験終了後にさせるべきだろう。
また、センター試験当日は空き時間を作らず、理科(1)と理科(2)の両方を受けたり、公民にも挑戦するようにアドバイスしておきたい。4教科の受験勉強しかしていなくても、公民や理科を受けておけば5教科受験になって、出願校の可能性が広がる。公民は、普段の授業をきちんと受けていれば比較的点数が取りやすい科目。予想外の点数が取れることがある。
試験会場については下見をしておくよう伝えておく。本番と同じ土・日に下見すれば、交通機関や所要時間を正確に把握できる。当日は、万が一の電車の遅れなどを考えて、早めに家を出るように注意しておく。
■part 8■ センター試験後の学習指導
過去問を中心に答案の書き方を練習させる
センター試験後から個別試験まではある程度まとまった日数がある。決して焦ったり慌てたりせず、対策を立てて、それをこなすように、生徒に言い聞かせておきたい。そして、「現役は最後まで伸びる」ことを生徒に理解させて、前向きな気持ちで学習に取り組ませる。
具体的な学習法としては、過去問が中心になる。志望校の入試問題はできれば過去10年分、少なくとも5年分は解いて、出題傾向をしっかりつかんでおきたい。大学によっては出題分野が比較的限定されていたり、同じような傾向の問題を出したりするので、過去問の研究は絶対に欠かせない。
答案の書き方も練習させる。センター試験がマーク式のため、生徒は言葉で表現する勉強から遠ざかっている。文理を問わず、過去問に取り組むときには答案の書き方を念頭に置いて解くように指導したい。試験と同じ大きさの解答欄が印刷されている問題集もあり、それを利用すれば実戦的な訓練になる。あるいは、生徒に白紙のルーズリーフを用意させ、問題に「解答欄は何センチ×何センチの空白」とあれば、その大きさに枠を書かせてから解答させるという方法もある。
問題集を使う場合は、新しい問題集に手を出すより、以前から使っているものをもう一度解き、完璧にした方がはるかに効果が上がる。最初20分かかった問題は次は15分、10分とスピードアップを意識して解くようにさせる。問題への理解がしっかり定着するだろう。問題集は自己採点がしやすく、採点の基準が明確なものがよい。
なお、志望校の過去問題集は志望校が決まった時点で買わせたい。センター試験後には売り切れで書店に置いていない恐れもある。
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