北海道旭川東高校
学習状況と学力の客観的なデータで
課題と目標を提示し、学習習慣の定着を図る
生徒の自主性に任せるだけではなく、学習面も進路面もしっかりと指導することで生徒の自己実現をサポートしていこうという高校は多い。北海道旭川東高校でも、生徒の気質の変化にいち早く対応。13年ほど前から、それまでの指導法を見直し、より組織的なものへと転換し始めた。その指導法を受け継ぎ、3年前から進路指導主事を務める西嶋潤一先生は指導方針の転換の背景をこう語る。
「本校は確かに道内では進学校です。しかし、他の都市部の進学校の生徒と比べると、高校受験で一生懸命勉強したという生徒は少ない。可能性を秘めた生徒が多いんです。私たちが手をかけることで生徒が伸びるのならば、そうするべきだと考えたのです」
学習習慣を継続してチェック
同校で重視しているのは、生徒の学力と学習習慣を常に把握することだ。生徒一人ひとりの現状を知ることで、きめ細かく個別に対応できる。そのために利用しているのが、「スタディーサポート」と模試だ。
「スタディーサポート」は、国語、数学、英語の3教科の基礎学力を測るテストと質問項目に答えることによって、学力と学習状況を調査するシステムである。同校では1年次の4月と10月、2年次の4月に実施している。
「北海道の高校入試問題は易しいため、入試結果では生徒の学力を正確に知ることができません。入学直後に実施する『スタディーサポート』で、生徒の学力や学習習慣を正確に把握し、3年間の指導のスタートラインとしています」
中学時代は塾での学習が中心だった生徒たちだが、高校での授業や夏期講習、課題を通して、段々と自宅での学習習慣が身に付いていく。その中間チェックポイントとなるのは、10月実施の1年生第2回の「スタディーサポート」だ。
「ここで学習習慣が身に付いていないと、2年生になってから立て直すのはまた一苦労です。早めに注意を促すためにも、夏休み明けの『スタディーサポート』は欠かせません」
一方、模試は1年次で5回、3年次ともなると校内実力テストも含め20回近く実施する。自由参加としているが、毎回、ほぼ全員が受験。「日本一、模試の多い高校なのでは」と西嶋先生は苦笑するが、節目ごとに学力を把握し、学習法を見直す機会を与えるため、また出題形式に慣れさせるため、様々な形式の模試を行っている。
「その学年の集団としての学力を知るためには、生徒全員が受けるという形が理想的なんです。偏差値は受験者の母体によって数値が揺れてしまう。しかし、学年全体が模試を継続して受験することで、本校という母体が固定していきます。その中での自分の順位によって、毎回、学力を測ることができます。模試を2倍にも3倍にも活用できると考えたのです」
模試のスケジュールは4月に生徒に伝えられる。目標を定めることで、学習習慣の定着にも一役買っているという。
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