VIEW21 2000.12  指導変革の軌跡 福岡県立武蔵台高校

今年度の新しい試み
として、講話終了後、生徒はそれぞれ感想文を書き、分科会ごとに話の内容や感想をまとめて、1週間後に発表会を行った。自分が参加した以外の分科会の報告を聞くことで、生徒の職業観をもっと広げようという目的だ。しかし、これだけでは不十分と進路指導部では考えている。
 「一番の課題は、生徒の自発的な活動にどうつなげていくかということです。現状では生徒に対して『情報を与える』だけで、生徒が自ら職業研究をする段階にまで至っていません。本当はインターンシップのような形までもっていくのが理想です。しかし、私たちの本業は教科指導ですから、進路指導ばかりに時間を取れないという現状があります」(寺下先生)
 3年間の進路指導計画の中で、「キャリアワークショップ」は職業観の育成、ひいては文理選択につながっている(下図参照)。個別の職業の話を聞く前段階としては、7月に「キャリアガイダンス」を行っている。学外の識者を招き、就職のステップ、社会で働くことについての講演会を行うことで、生徒に「キャリアワークショップ」に参加する意義を考えさせている。

3年間の進路指導の流れ

 「年に1回の行事であるガイダンスとワークショップだけでは、生徒の進路意識を持続させるのは難しい。ワークショップでモチベーションが上がっても、それがゼロになってしまわないよう、つなげていく何かがあれば……と思っています」(庄山先生)
 実施から2年目。まだ課題は残っている。しかし、今回の「キャリアワークショップ」に参加した生徒たちの反応からは、確かな手応えが感じられた。

写真 感想を述べ合う生徒たち
講師が退出すると、早速、感想を述べ合う生徒たち。ますます夢を膨らませる者、厳しい現実を知って神妙な顔つきの者……。この後、生徒たちは原稿用紙に黙々と向かい始めた。



まだある参考にしたい取り組み
キャンパスワークショップ
第2学年を対象にした大学・学部研究のための行事。11月に16大学17学部から大学教授を招待し、高校で模擬講義を行う。生徒は事前に、第1学年2月の「キャンパスガイダンス」で大学・学部選択のポイントをつかみ、第2学年8月の「キャンパスツアー」で大学のオープンキャンパスに参加した上で、1つの模擬講義を選び、聴講する。
週考査
毎日少しずつ学習する習慣を確実なものとし、自然と学力が身に付いていくことを目的として、毎週月曜日の1、2時間目に3教科各30分の試験を行っている。第1、2学年は中間考査を行わず、この週考査と期末考査で評定値を付ける。

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