★IT革命で学校はこう変わる★
コミュニケーションのツールとしての可能性
職員室LANで情報を一元管理
学校や企業へのコンピュータ導入の目的は、「一度入力したデータを次も利用できる」「同じような計算が簡単に繰り返しできる」といった事務業務の省力化である場合が多かった。学校では主に、生徒情報の管理や成績処理に利用され、コンピュータは確実に期待に応えてきた。「ミレニアム・プロジェクト」はそれにとどまらず、インターネットを使った情報収集・発信やコミュニケーションまでを含む新しい活用を目指している。そのためには、それぞれのコンピュータをつないでの情報の共有化が必要となり、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)が不可欠になってくる。
職員室でのパソコンの導入率はまだ低く、教師一人当たりのパソコン台数も少ない。しかし、教師一人にパソコン1台を実現している学校が1県に数校存在する。まだ各教師が使用するアプリケーションが違うなど情報の共有化に壁があるが、まず教科ごとに使用ソフトを統一し、定期試験の問題管理や小テスト、配布プリントなどを管理することから始めているところもある。
本格的にLANの活用が始まれば、例えば教師が個々に持っている各生徒の情報(成績や進路に関する情報)を一元的に管理することができる。生徒情報を一つにまとめることで、生徒各々の特徴を的確につかむことができるようになるだろう。
保護者との連絡にメールが活躍
コンピュータはコミュニケーションの面でも利便性が高い。メールはいまや携帯電話からも送れるようになり多くの人が利用している。保護者とのコミュニケーションのツールとして、既にメールを使っている教師もいるという。きっかけは、教師の名刺に書かれていたメールアドレスに、保護者から質問が送られてきたこと。それに答えているうちに、「保護者通信」という配布物にメールアドレスを載せて、他の保護者にも活用してもらおうと思い付いたという。しかし、メールだけに頼っては、自宅にパソコンがない保護者との間に情報格差が生まれてしまう。そのためメールだけでなく、今までの学級通信、ホームページなど、複数に同時に情報を掲載しているという。メールは、さしあたり保護者との補足的なコミュニケーションツールとし、さらに普及率が上がったところで全保護者への発信ツールとして考えるのが良さそうだ。
意欲と関心を喚起し自主的な学習へつなげる
授業へのコンピュータの活用も、今後さらなる展開が期待される。実際に、教科の授業にコンピュータを利用している教師も多い。例えば、テストや補習などで使用する問題の管理に、コンピュータを利用している教師は徐々に増えている。また、どの高校でも取り入れられる授業へのパソコンの活用法として、英語の授業での「メール」の活用が挙げられる。生徒に海外の高校生と英語の「メール」をやり取りさせるというものだ。
その利点は、手紙に比べてタイムラグが小さく、反応がダイレクトであることと、電話と異なり時差を気にすることなくコミュニケーションができることだ。英語に興味がなかった生徒も、自分が書いた英文の文書を実際に外国人に読んでもらい意味が通じた喜びから、英語学習へのやる気が生まれるという。成功のポイントは、相手の高校の状況を把握するため、まず初めに教師間で情報交換を行い、スケジュールなどを打ち合わせておくこと、そして同じ高校へ繰り返しメールを出すことである。そうすれば、メールのやり取りが長く続き、繰り返し英語で手紙を書くことで英作文力の養成にもつながるようだ。
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