★IT革命で生徒はこう変わる★
インターネットの面白さが生徒の興味・関心を引き出す
進路研究にインターネットを活用する生徒が増加
現段階で多くの高校がコンピュータの利用法の一つとして実施しているのが、進路室や進路資料室でのインターネット利用である。多くの生徒が進路情報を得るための手段として、インターネットを活用している。放課後や昼休みなどに、備え付けのノートにクラスと名前を記入して利用させるのが一般的だ。「情報冊子を使っていた時と比較して、自主的に調べている生徒の数が格段に増えている」「昼休みと放課後は、進路室内に生徒が絶えずやって来る」など、進路室で開放されているインターネットの人気は高いようだ。インターネットへの興味から、まず生徒は進路室に足を運ぶ。そして自分の操作によって反応が返ってくる面白さ、情報を見つけたときの嬉しさ、情報の新鮮さ、奥深さなどから、パソコンから離れられなくなるようだ。
パソコンを教師の目に付く場所に設置しておけば、それだけ生徒に語りかける機会も増える。最初はインターネットへの物珍しさから進路室に来ていた生徒に対しても、大学のホームページを見ながら志望進路を聞いたり、さらに深く進路について考えられるような示唆を与えるなど、教師からの働きかけもしやすくなるというわけだ。
利用頻度が高くなる3年次の夏以降には、大学の最新情報が見られるからと通い詰める生徒もいるが、実際にホームページを毎日更新している大学はわずか。毎日チェックする必要はないのだから、期間をおいて見に来る方がよいと伝えるなど、インターネットの面白さだけに引きずられないよう、効果的・効率的な使い方の指導も必要だ。
情報収集だけでなく情報活用法も学ぶ
高校では現在、各都道府県主導でコンピュータ教室の設置が進められている。しかし、コンピュータ教室を「総合的な学習の時間」や「情報」のための教室と考え、'03年度までこの教室をどう活用すればよいのか戸惑っている高校もあるようだ。先行してコンピュータ教室が設置された高校では、LHRの時間に進路についての調べ学習を実施するなど、独自のやり方でコンピュータ教室を活用しているところも多い。
進路学習の一環として行われる情報収集では、例えば将来なりたい職業を見つけるためいろいろな職業の仕事内容を調べたり、志望大を決めるため大学や学部・学科、研究室などの内容、教官の研究内容を、生徒にインターネットで調べさせる。一見、大学案内や進路に関する情報誌や書籍などを使っていたものを、インターネットに置き換えただけと思えるかも知れない。しかし、インターネットなら他のページに跳ぶことができるため、職業から大学、大学から学問など、興味を持った分野を気軽に調べることができる。一つの分野を深く調べることもできれば、関連分野を幅広く知ることもできる。
また、調べた内容をまとめる際には、規定のフォームにワープロ・ソフトを用いて、自分が得た情報を整理し、進路についての考えをまとめさせるなど、多くの高校で単なる情報収集に終わらせない工夫を試みている。作成した資料は大学や学部・学科の選択、入試で課される小論文や面接対策に役立たせるなど、生徒は情報活用法までを学ぶことになる。
インターネットが高校に導入された当初は、「生徒が情報を多く持ちすぎて、なかなか志望を固められない」「教師以上に生徒が情報を持っているので指導し辛い」など情報過多による弊害を心配する声もあった。しかし数年経ってみると、インターネット上で正確な情報を掲載しているページや更新が早い大学のホームページなど、情報に早く行き着くためのコツが、生徒と一緒に学ぶ中で身に付いた、という教師の声もよく耳にする。ことコンピュータに関しては、教師より生徒の方が積極的な場面も出てくるかも知れないが、生徒と共に学ぶ気持ちで臨みたい。
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