英語教育の新機軸
英語指導法勉強会(富山県)
コミュニケーション要素を取り入れる指導法を模索
昨今、英語教育はコミュニケーションのために必要な能力を育成すべきだという声が多く聞かれる。そのような教育の実現を目指して、授業改善のための勉強会を開いている教師集団の一つが富山県に存在する。会の発足の経緯や活動について、富山大の新里眞男教授と、富山県立魚津高校の岡崎浩幸先生からお話を伺った。
教師の学びの場を提供
毎月1回行われる「英語指導法勉強会」は'00年9月から始まった。発起人である魚津高校の岡崎浩幸先生はそのきっかけをこう語る。
「私は10年前、文部省主催英語担当教員海外研修でイギリスに留学したときに、初めてコミュニケーション重視の指導法を知りました。その頃は文法・訳読中心の指導が当たり前と思っていたので、とても衝撃を受けました。帰国したらこんな授業がしたい、と心から思いました」
しかし、岡崎先生は日本に帰ってから、イギリスで学んだ授業法を実践する難しさを実感したという。今までの授業法を新しい形に変えていくのは、そう簡単なことではなかった。加えて、受験にあわせて文法、訳読中心に授業を行うべきという雰囲気も強かった。
「しかし10年経った今、巷でも『コミュニケーション重視』という言葉が聞かれるようになり、自分の目指す授業に少しでも近づけるように試行錯誤の毎日です」(岡崎先生)
日々の授業の中で、少しずつコミュニケーションの要素を取り入れて授業をしていた岡崎先生は、いつからか「指導法について理論的に勉強したい」と思うようになったという。他県で有志の教師が集まって勉強会を行っているという話を耳にし、富山県でもそんな勉強会があったら、と思っていた。そんなとき、富山大に新里眞男教授が赴任することを知った。
「新里先生にお会いしたとき、思い切って『勉強会をやりませんか?』と提案してみたんです。そうしたら、新里先生も賛同してくれました」(岡崎先生)
一方、新里教授も富山大に赴任したら、現地の教師と勉強会を開きたいと思っていたという。
「従来のままの指導でいいのだろうか、と思っている先生は多いと思うんです。そんな先生たちに学びの場を提供できればと思いました。私も教師時代には、そのような勉強会からたくさん学ばせてもらいましたからね」(新里教授)
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