VIEW21 2001.04  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 低学年からの進路指導

■part 3■ 1年生 1学期~夏休み
連続する行事を利用して生徒を指導する

 1学期前半は行事などで忙しい時期だが、逆に行事は生徒を指導する絶好の機会でもある。例えば、集団検診で騒いでいる生徒や球技大会にやる気を見せない生徒に対して、毅然とした態度で臨むことで、その生徒だけでなく、クラスの雰囲気も引き締まる。
 SHRも忙しい時期だからこそ大切に活用したい。連絡事項の伝達だけに終わらせず、担任から人間味あふれる話をすることで、生徒との信頼関係を築いていきたい。また、SHRを利用して、生徒が主体的に情報を収集する姿勢や能力を養ってみてはどうだろうか。SHRで連絡事項などを口頭で伝えず、プリントを黒板に貼って、生徒が自分でそれを見るように仕向けるのだ。生徒は必要な情報は自分で得なければならないという自主的な行動の大切さに気付くだろう。この情報収集能力は教科学習、進路学習、さらには大学、社会に進んでからも大いに役立つ。こうした活動を地道に続けることで、生徒の意識やクラスの雰囲気が良い方向に作られていく。
 また、1年次はじっくり進路学習に取り組み、人生観を醸成させるのに良い時期だ。LHRや夏休みの課題として「ライフモデルプラン」を書かせ、「自分はどういう人生を送りたいか」「一生の中で今はどんな時期か」といったことを考えさせたい。この時点では、将来の職業という部分に絞るのでなく、人生観を含めたもっと広い観点から考えさせていきたい。将来についての考えを深める過程で勉強の必要性が見えてくれば、前向きに勉強に取り組むきっかけにもなる。
 生徒が自分の将来像を考えるとき、教師をモデルにすることは少なくない。教師は生徒の将来(像)に大きな影響力を持っているとも言える。

担任と保護者との二者面談で信頼関係を築く

 進路指導では保護者の協力を得ることも大切であり、学校・担任と保護者との間に信頼関係がなければならない。保護者会や面談などを通じて常に学年の指導方針、考え方を伝え、学校の指導に理解を求めていきたい。
 多くの高校で生徒・保護者・教師の三者面談を行っているが、保護者と教師の二者面談も非常に有効である。保護者の中には生徒が一緒だと、親としての進路に対する考え方や希望などを率直に話せない人がいる。保護者と生徒との進路観の違いが、受験直前に問題となる前に、教師は保護者の本心をつかんでおきたい。
 また、保護者の「うちの子は家では全然勉強しないんです」という何気ない会話でも、家庭での生徒の様子を知るために役に立つ。そうした話にきちんと耳を傾け、理解を示し、その上で担任としての見解、考え方を提示していけば、保護者は担任や学校に対して、一層の信頼感を抱くようになるだろう。
 二者面談の実施が難しいなら、1学期や夏休みの間に担任から保護者に電話をするとよい。「○○さんは学校に慣れましたか」「家で勉強していますか」と一言を伝えるだけでも、保護者は「先生はうちの子を心配してくれている」と感じるはずだ。

ライフモデルプランの項目例
将来の自分はどんな生活をしているのだろうか。想像して書いてみよう。
  • 20、30、50歳のあなたはどこに住み、何をしているでしょうか。
  • 30、50歳のあなたはどんな仕事をしているでしょうか。
  • 結婚や家庭について、あなたはどのようなイメージを持っていますか。

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