VIEW21 2001.04  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 低学年からの進路指導

■part 5■ 2年生 1学期~夏休み
学部・学科・大学研究で学問への理解を深化させる

 2年生からは、1年生の取り組みをベースに、大学を意識させた取り組みを盛り込んでいく。将来就きたい職業、勉強したい学問が見えてきた生徒には、それに関連する学部・学科を調べさせる。学ぶ内容、学問の将来性、学んだことをどう社会で活かせるのか、その職業に就くために有利な資格があるか、その資格はどんな学部・学科で取れるかといったことを調べるように指示する。また、学問内容が隣接する学部・学科にはどんなものがあるかも調べさせたい。この時点では難易度などはあまり気にせず、どんな道に進みたいかという観点から調べさせることが大切だ。進路指導室の活用を促し、調べるための資料も具体的に提示する。
 生徒は、学部・学科を調べるうちに学問内容に対する理解が深まると同時に、学問が細分化されていることにも気が付く。例えば、工学にしても、金属工学、建築工学、電気工学、システム工学、産業工学、遺伝子工学など様々な分野があることが分かってくる。研究が深まるにつれ、自分が工学のどのような分野を学びたいのか、ぼんやりしていた像の輪郭がはっきりしてくるだろう。
 ある程度、研究が進んだら、調べた内容を一度書き出してみる作業をさせるとよい。調べたことによって自分の興味・関心はどう深まったか、自分の将来像とどうつながるかなども考えさせて書かせる。この作業を通して学問内容や学部・学科についての知識が整理され、学問、学部・学科に対する興味が本物か表面的なものかも自分自身で分かるようになる。

資料調べと体験学習で大学研究を

 志望する学部・学科が見えてきた生徒には、大学研究を始めるように指導する。ただし、この時点では志望の学部・学科を一つに絞る必要はない。文学にも経済学にも興味があるというなら、両方について調べさせる。あくまでも生徒の可能性を広げる方向で指導したい。大学研究は、志望する学部・学科のある大学について、学風、大学の沿革、講義の全体像、研究内容、研究施設、また入試科目も調べさせる。
 大学・学部・学科研究は生徒によって調べる内容が異なるため、個別の研究が中心になる。ただ、生徒の自主性に任せると研究が進まなかったり、研究の深さにばらつきが出る。LHRの時間にクラス全体で行う、学年全体でオープンキャンパスに参加するなど、生徒が真剣に取り組む行事なども考えたい。同じ学部系統を志望する生徒をグループにして、共同で研究させると、互いによい刺激になることも多い。
 また、2年生に起こりやすい中だるみには早めに注意を促すことが大切だ。生徒と接する時間が一番長い「授業」を見直してはどうだろうか。授業が引き締まれば生徒の緊張感が出て、進路意識にも好影響をもたらす。個人レベルの中だるみなら生徒を個別に呼んで注意し、学年全体に広がっている場合は臨時の学年集会などを開いて学年全体に活を入れることが必要だ。

大学・学部・学科研究の資料
『学べる大学探せる事典』
興味・関心のある学問分野は何か、それを学べる学部・学科はどこの大学に設置されているかを調べる。
大学案内
その大学で学ぶ内容の概略を把握できる。
大学のシラバス(年間授業計画案)
教授の研究内容、授業内容などが詳細に分かる。校長や進路部長の名で「生徒の大学・学部・学科選択の一助として1部分けていただきたい」と各大学にお願いするとよい。
オープンキャンパス
生徒自身の目・耳・肌で大学の雰囲気を実感できる。
先輩の話
先輩から大学の話を聞く。志望する大学や学部・学科に進んだ先輩ならより内容のある話が聞ける。

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