VIEW21 2001.04  指導変革の軌跡 宮崎県立小林高校

一方で、保護者に
対してもガイダンスを行い、課題学習という指導への理解を求めた。
 「本校に入学すると、生徒の生活スタイルはがらっと変わるため、保護者は学校に対して不安を抱くようです。ですからその前に、小林高校で大学進学を目指すためには、どれくらいの学習量が必要なのか、どういった学習法が良いのかといった学校の考えを保護者に示し、理解を求めたのです」(黒岩先生)
 また、生徒が家庭できちんと学習しているか、注意を払ってもらうためにも、保護者には保護者会や三者面談などで地道に課題学習の意義を伝えることが重要だと、水渕先生は言う。
 「本校では1年生の1学期には家庭訪問をしていますが、そのとき、保護者にも週プランの作成の仕方などを説明しています。また、合格体験記を保護者にも配布し、課題学習を活用して合格した卒業生やその保護者の声をダイレクトに伝えました」
 こうした様々な取り組みを重ねていった結果、1年生5月の家庭学習量の調査では、週平均40時間を超えた。その数字は受験生である3年生の平均学習時間を超えていた。
 「学習習慣が身に付くかどうかは、1年生の1学期が勝負です。授業とリンクさせた課題を出し、まず机に向かわせる。この基本的な学習習慣を1、2年生で徹底的に身に付けさせ、3年生になったら課題プリントではなく、自分の志望校に合わせた学習を自主的に取り組めるような生徒を育てていきたいと考えています」(水渕先生)
 現2年生は昨年10月の模試で過去5年間で最高の成績をマーク。同年7月の模試の成績から急上昇していた。しかし、水島先生は、本当の成果は出ていないと気を引き締める。
 「今後の課題は、環境問題や福祉問題といった社会問題に対応する力を養成していくために、実技科目も含めてどのように家庭学習に取り組ませるかということです。教科間のバランスを取りながら、生徒の家庭学習量を増やすような仕掛けが必要でしょう。私たちが新しい課題学習をスタートさせてまだ2年です。まだまだ指導には工夫の余地があります。課題学習を徹底して続けることで、小林高校の新しい流れができるのではないかと期待しています」(水島先生)

写真 生徒とのコミュニケーション
ノートには、自分が読んでいる本の感想、その日あった出来事などを書く生徒もおり、生徒の個性が感じられると言う。生徒とのコミュニケーションツールとしても欠かせない。



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