試験後の指導を工夫
生徒の学力向上を図るため、様々な試験を活用している点も見逃せない。実力養成考査、指定した範囲の理解度を測る到達度試験、模試、そして英語コミュニケーション能力テストなどを組み合わせ、弱点を克服し、得意分野をさらに伸ばす指導を行っている。
「英語コミュニケーション能力テストは、前半期の発信型授業でどのくらいの力が付いたかを測るための試験です。目的の異なる試験を行うと、生徒の特性によって結果の出方がそれぞれ異なります。そのギャップに注目して、例えば到達度試験が悪くても、英語コミュニケーションテストが良い生徒には、リスニングやライティングの力が優れていることを褒めてやり、モチベーションのアップにつなげます。逆に英語コミュニケーション能力テストの結果が悪かった生徒には、速読力を強化しようなど具体的にアドバイスできます」(山本先生)
新たな英語教育に取り組んできた同校だが、今後もさらに改善する点があると両先生は口を揃える。
「例えば簡単なディベートを1年次から、OC・B以外のリーディングやライティングの授業に盛り込む。OC・Bはそのためのスキルを身に付ける場に特化させることも考えられます」(山本先生)
「OC・Bの授業を、例えば『依頼』『謝罪』など言語機能ごとに展開すれば、よりねらいを明確化できると思います」(吉田先生)
従来の形に固執せず、常により良い方法を模索する同校。しかし、「コミュニケーションの手段としての英語を身に付ける」(山本先生)姿勢は今後も変わらないだろう。
熊本県立熊本高校
創立100周年を迎えた伝統校。「士君子」の養成を教育目標に掲げる。'01年度入試では東京大に19名、京都大13名、九州大に64名など国公立大に344名、私立大では早稲田大に40名、立命館大に65名など多数の合格者を輩出。部活動ではラグビー部、山岳部などが全国大会出場経験を持つ。
住所/熊本市新大江1丁目8番 電話/096(371)3611
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熊本県立熊本高校教諭
吉田祐一
Yoshida Yuichi
教職歴16年。同校に赴任して8年目。教育研究部部長。昨年は、文部省の派遣プログラムに参加し、11か月間ワシントンDCへ留学していた。「個性を大切にしながら、自主的に学習し問題解決できる生徒を育てていきたい」
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熊本県立熊本高校教諭
山本朝昭
Yamamoto Noriakii
教職歴18年。同校に赴任して5年目。今年度は第1学年主任を務める。学年の方針として、3C「challenge」「communication」「confidence」を掲げる。「コミュニケーションの奥行きに気付かせる指導をしたい」
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