VIEW21 2001.06  今日と明日の活力をもたらす創意工夫
 学校活性のヒント 青森県立五所川原高校

青森県立五所川原高校

「今やるべきこと」を徹底させることで
受験生への切り替えをスムーズにする

 企業の進出や人口の流入などの、外部からの刺激が少ない地域では、進学希望者の意識も地域の枠組みの中でとどまりがちになる。青森県立五所川原高校も生徒の進学意識の立ち遅れが長年の課題であった。しかし、ここ数年、学校全体の活性化が着実に進んでいると言う。「3年生を『受験生』に変えるには、指導の工夫が必要です」と、進路指導部長の楠美俊一先生は語る。

「今やるべきこと」を徹底させる

 生徒の意識を「受験生」としての意識へ切り替える最大のポイントは、部活動を引退する3年6月。生徒の意識の切り替わる時期には個人差があり、2年生から動き出す生徒もいれば、部活動が終わっても腰の上がらない生徒もいる。
 そこで、3年生が部活動を引退した直後に実施する6~7月の進研模試のデータを活用して、生徒個々に今後の課題を具体的に示し、受験勉強へのスムーズな切り替えを促す面談を行う。この際にも、1年次からの模試の成績推移を示すことで、生徒一人ひとりの弱点や長所を踏まえた学習を進めるためのより効果的な指針を与えることができる。
 この時期の指導について、進路指導副部長の安田徳昭先生は、「3年次の7~8月には保護者を交えて三者面談を行いますが、合格の可能性ではなく、目標を見据えた『今やるべき勉強』に関する指導が中心になります」と語る。部活動に積極的に打ち込んで来たがゆえに、受験生として「出遅れたのではないか」という不安を抱える生徒に、切り替えの大切さを認識させ、身近な目標の達成を通じて、徐々に自信を付けさせていく配慮だ。
 昨年、3年生が6月に行った学部・学科研究では「FINEシステム」をはじめとする研究ツールの活用方法や調べたことをクラスごとに発表させた。そして、内容が優れたものを学年全体に広める目的で、7月末の文化祭で全校に発表させた。より良い進路研究の方法を全員で模索し、共有化を図っている。
 また、小論文学習も、各教科の持ち回りで、様々な分野の新聞記事を準備し、2か月に1回、全学年の生徒にコメントを提出させ、優秀者を表彰している。
 「生徒全員分を評価するのは本当に大変ですが、私たち教師がどれだけ真剣に、また徹底して取り組めるかがポイントです。生徒はこちらの考えている以上に教師の姿勢をきちんと見ていますから」(加福孝二先生)

 
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