生徒のパワーを信じる
五所川原高校では、'99年に創立70周年記念事業として、地元に伝わる「立ちねぶた」の製作と市内の練り歩きを行った。結果として、予想以上に生徒のパワーが集結した、大変に素晴らしいものになった。このイベントは1年限りの予定だったが、翌年、図らずも新3年生を中心とした生徒たちから「昨年行ったこのイベントを、是非とも継続してほしい」という嘆願書が出された。予想外の生徒の反応に楠美先生は驚いたが、「自分たちの力を出し切りたい」という生徒の情熱とパワーをうまく活かさない手はないと考え、嘆願書を受理した。
「祭りは7月末の実施です。それまで3年生が本格的に進学の態勢に入れないことから、正直、受験に悪い影響が及ぶのではないかと危惧しました。しかし、そういう盛り上がりを活かし、うまく切り替えを行っていけば、逆に生徒の底力は増幅されるのではないかと考えたのです」と楠美先生は当時を振り返る。
個々の生徒で受け止め方の差はあるだろうが、「自分たちを信じて先生に願いを聞き届けてもらえた」という思いが強まり、先生と生徒との信頼関係が強固になったことは間違いないだろう。
生徒との信頼関係を地道に築く
生徒の力を存分に引き出し、うまく「受験生」に切り替えさせるためには、入学時からの生徒と教師の信頼関係の構築が欠かせないことは言うまでもない。
「4年前から始めた入学当初の学習合宿では、ホームルーム集団としての和や、担任の先生との触れ合いを強調しています」(楠美先生)
「『分からないことは恥ずかしいことではない。分からないことがあれば、とにかく先生のところに聞きに行きなさい』と繰り返し言うようにしています。それによって、校内の至るところで、生徒が教師に質問している光景が見られるほどです」(加福先生)
地道にではあるが、入学当初から、生徒と教師のつながりを良好にすることに心を砕くことが、3年生になって生徒を「受験生」にする際の大きな鍵になっていることは間違いないようだ。
「生徒を信じて本気で指導に当たれば、必ず生徒は変わってくれます」という信念のもと、日々前進を続ける五所川原高校。さらなる活性化のために、次はどのような「切り替え」を見せるのだろうか。
▼進研模試 総合学力マーク模試・6月/
センター試験準拠のマーク式問題により、6月時点での学力を測定し、志望校選択などの進路指導、及び夏休み前の学習指導に活用。'00年度受験者は34万人。
▼進研模試 総合学力記述模試・7月/
7月時点での学力を記述問題で測定し、志望校の合格可能性を判定することを目的とした全国模試。'00年度受験者は35万人。
▼FINEシステム/
模試などの成績データや、入試、大学、学問、職業に関する情報を提供するシステム。
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青森県立五所川原高校教諭
楠美俊一
Kusumi Shunichi
教職歴33年。同校に赴任して7年目。進路指導部長。数学担当。「原石のような生徒を我々の熱意で光り輝かせることが願いであり、楽しみです」
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青森県立五所川原高校教諭
安田徳昭
Yasuda Noriaki
教職歴28年。同校に赴任して4年目。進路指導副部長。数学担当。「数学嫌いにならない指導を第一に。生徒が相談しやすい雰囲気を心がけています」
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青森県立五所川原高校教諭
加福孝二
Kafuku Koji
教職歴28年。同校に赴任して6年目。進路指導部。担当教科は化学。「継続は力であり、努力はあなたを裏切らない。勉強も部活動も同じです」
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青森県立五所川原高校
1929年創立。普通科、理数科、衛生看護科の共学校。全校生徒数816名。'01年度入試では東北大をはじめ、弘前大42名など国公立大に計117名合格。私立大は早稲田大、慶応大などに合格者を輩出。
住所/青森県五所川原市字中平井町3-3 電話/0173(35)3073
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