VIEW21 2001.06  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 模試を活用した指導

効果的な取り組みのための手順とポイント

模試を活用した指導

3年間を通して模試を有効活用するために

 模試データには様々な情報が詰まっている。現在の学力の把握、弱点分野の発見、また志望校合否の目安、さらには結果を分析し、データを加工することによって生徒の成績推移や、学年の特性や傾向も把握できる。偏差値や合格可能性判定のみに目を奪われがちな模試を、1年次から最大限に活用する方法を考えていく。


模試の意義・目的
模試データは指導内容の確認をするための材料

 模試は学校教育に広く定着し、大事な進路学習教材の一つになっている。だが、定期考査や実力テストを実施しているにもかかわらず、なぜ模試を行う必要があるのだろうか。
 模試の本来の目的は、生徒自身が学習の到達度や弱点分野を確認し、その後の学習に活かすための材料とすることにある。もちろん教師にとっても、生徒個々の学力を把握することができる好機となる。また、全国規模での学力状況を測定することで、教師が学年全体の学習課題を把握し、その後の指導に活かすこともできる。
 模試のもう一つの機能としては、授業での指導内容を客観的に確認する指標になることだ。例えば、担当教科について今回の模試で生徒がどの程度得点できるのかを、授業の進度などから事前に予測してみたい。実際の模試の結果と指導状況とを突き合わせ、授業で指導したにもかかわらず正答率が思わしくない分野がある場合には、どのタイミングで復習を行うかなど、以降の指導計画を適切に修正していくことができる。こうした機能は、模試だけでなく、定期考査や実力テストにも備わっている。したがって、模試はそれだけで独立して存在するのではなく、授業、定期考査、実力テストという学校教育の一連の流れを効果的に支援する材料として捉えられるだろう。
 模試の結果データを分析する際に、ともすると偏差値や合格可能性判定に目を奪われがちになってしまう。しかし、それだけにとどめずに、模試の意味と機能を再確認し、有効に活用していきたい。

模試受験者数の変化
生徒は先生と話すことをどう感じているか
*高校生総数は文部科学省「学校基本調査」より、3学年分の総計。
*進研模試受験者数は3学年分1年間の延べ人数の累計。
生徒数は年々減少している一方で、進研模試の受験者数は年々増えている。模試が指導において重要な位置を占めていることの現れだろう。

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