VIEW21 2001.09  英語教育の新機軸

科目の融合が重要に

 では、語彙力、文法力を身に付けさせながら、4技能をバランスよく向上させるにはどのような指導上の配慮が必要なのだろうか?
 「『英語I、II』『OC・A、B、C』『ライティング』『リーディング』など、英語の科目の垣根を取り払い、内容を融合させることが必要ではないでしょうか。例えば、外国の生活に関する文章を読んだら、今度はそこを自分が訪れたと仮定して、英語の文章を日記形式で書かせてみる。そして次は学校のALT宛の手紙を書かせる。誰に、どんな内容を伝えるのか、生徒の日常に起こり得る状況を想定して具体的な指示を出せば、授業中の活動をよりオーセンティックでコミュニカティブな活動に近付けられます」(藤原先生)
 「教材やテストの選定にも配慮が必要です。『英語コミュニケーション能力テスト』は、時刻表やレストランのメニュー、広告といった、日常生活で触れるものが素材として使われているので、英語を実際に使っている感覚が得られます。また、ネイティブの人に自分の英作文を評価してもらうことで、生徒が自分の英語が本当に通じるのか実感でき、同時に自分に足りない語彙や文法に対する学習のモチベーションが高まるはずです。これからの英語教育では、様々なシーンで今まで以上の創意工夫が求められます」(川島先生)


全国英語教育研究団体連合会
全国の公立私立の中学、高校の英語教師、約5万7000人を構成員とする、日本最大の英語教育研究団体。1950年に創立された。英語教育の振興、各都道府県の研究団体の研究・実践とその相互交流、テストや出版物の企画・刊行などを主な活動とする。
住所/東京都目黒区駒場2-1-3苗場ビル302 電話/03(3469)8583

写真 川島由夫 写真 藤原宏之
東京都立国際高校校長
川島由夫
Kawashima Yoshio
教職歴34年。都立日本橋高校の校長を経て現職。国際高校に赴任して2年目。「国際科という性格上、帰国子女の生徒も多く、生活習慣や文化の面で異なるバックグラウンドを持つ生徒が通っています。将来、国連で活躍するような生徒を育てたい」
筑波大附属高校教諭
藤原宏之
Fujiwara Hiroyuki
教職歴23年。同校に赴任して13年目。全英連で 「オーラルコミュニケーションテスト」を作成。 「外国の人と話し、心の交流が生まれる喜びなど、英語の楽しさを教えたい。また、テストを通して今後求められる英語力とはどのようなものなのかを広く発信していきたい」

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