福岡県立筑紫中央高校
テストや行事の目的を共有化し、 指導の流れを明確にする
行事やテストを通じて生徒を成長させ、学校を活性化する――考え方は理解できても、実行に移すのは決して容易ではない。福岡県立筑紫中央高校は、その課題に挑み、目覚ましい成果を上げている学校だ。「地域における本校の生き残り策を必死で考えています」と語るのは、進路指導主事の山本哲也先生だ。
テストや行事の意味を問い直す
同校は、今年で創立84年を迎える地域の伝統校である。山本先生は赴任した当初、生徒たちの伸び悩みと活気のなさを感じたという。
「各教師がそれぞれのテストや行事の意味や役割をきちんと理解しなくてはならないと思いました。まず教師が理解していないと、生徒にも伝わりませんから」
生徒が伸び悩み、活気がないのは行事やテストなど指導の流れにメリハリがないからではないかと考えた山本先生は、昨春進路指導主事に着任したのを機に、テストや行事の見直しを図った。過去の進研模試の成績が低落傾向にあることを手掛かりに、職員会議でそのデータを提示して、従来の指導方針の問題点を指摘したという。
「ずっと同じやり方を続けて、それで実績が低迷しているのなら、思い切ってやり方を変えなくてはならない。行事やテストの見直しをしようと提案したら、他の先生方にもすんなり受け入れてもらうことができたのです」
同校では、進研模試とスタディーサポートを学習指導・進路指導のツールとして活用している。例えば2年生7月の進研模試は、生徒が自己採点した結果をもとに、課外授業の内容を組み立てるためのツールとなっている。また、8月に実施するスタディーサポート(2年生第2回)は、学習法のアドバイスが生徒個人票やスタディーナビゲーターに詳細に記されているので、生徒が具体的な学習目標を知ることができる上、教師が秋以降の指導内容を練るための重要な資料となる。
さらに、山本先生は進路指導部主導の体制へと切り換える策をとった。
「スタディーサポートは、それまで学年ごとに受けたり受けなかったりバラバラに実施していました。しかし、3年間の指導の流れの中で、どのように生徒を導き、学力を伸ばしていくのかという視点で考えると、学年主導ではなく進路指導部がしっかりリードして年間の指導計画に組み込んだ方が、間違いなく本校の指導のノウハウを蓄積する仕組みをつくることができると考えたのです」
そうした考え方の下に、進路指導部が各担任に研修を行い、実施の目的やその内容だけでなく、結果返却時にどういう点を生徒に伝えればよいのかといったことのすり合わせを行っている。もちろん、他の時期に実施する試験にも、3年間の指導の流れを見通した明確な位置付けがなされている。
「2年生8月に実施するスタディーサポート(2年生第2回)と、11月の進研模試の結果を見比べて、12月に面談をすれば、生徒が秋以降に学習法の修正をしたかどうか、またしたとすれば成果は出ているかどうかが分かります。さらに、2年生1月の進研模試と2年生3月のスタディーサポート(3年生第1回)も同様です。3月にスタディーサポートを組み入れたのは、2年生に対する指導が本当に効果的にできているのかを検証する機会をつくる意味もあります」(山本先生)
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