行事とテストで生徒を意識変革
また同校では、昨年秋からテストだけではなく行事についても本格的な見直しを行い、「この時期になぜこの行事があるのか」という点を一つひとつ確認した。数ある行事の中でも、2年生秋の中国への修学旅行は、進路指導における大きなポイントとして位置付けられていると山本先生は語る。
「修学旅行は、リーダーを育てる絶好の機会です。ここでうまくリーダーが育ち、修学旅行を成功させた学年は、必ず学習へのモチベーションも上がり、その後驚くほどの力を発揮していきます」(山本先生)
さらに山本先生は、進学に関して生徒が大きく飛躍するポイントを2年生の1月と考えている。修学旅行を挟む7月、11月の模試で多少成績が下がっても、1月の模試で上昇が見られれば、大学入試でも良い結果が出ることが過去のデータの蓄積から明らかになっているからだ。
「だから、教師はそれぞれの行事やテストの意味と位置付けをきちんと把握した上で指導に当たらなくてはならない。いわゆる中だるみをさせない鍵はそこにあると思います」
地域から信頼される学校に
行事とテストの位置付けを明確にすることで生徒を伸ばす指導に徹している同校だが、入試の合格実績も飛躍的に高まっている。特に西南学院大、福岡大への合格実績は県内でも注目を浴びている。
「本校は女子の比率が高いので、元々生徒の地元指向が強いのです。したがって当面の目標は西南学院大の実績です。そして以前から多い女子の看護系専門学校への進学希望者を確実に志望校へ送り出すこと。これらが達成できれば、地域からの信頼は揺るぎないものになります。確かにこの3年ほど合格実績も着実に伸びていますが、本格的な改革は昨年スタートしたばかりです。真の信頼を勝ち取るためには、今の1年生が巣立つまでの3年間が勝負といえるでしょう」
そう語る山本先生の表情は、「我が校をこれからもっと地域に認められるよい学校に変えていくんだ」という強い信念に満ちていた。
▼スタディーサポート2年生第2回/
2年生2学期以降、クラス担任による指導をサポートするシステム。
▼進研模試 高2 総合学力記述模試・1月/
2年生1月時点での学力の定着を測定することを目的とした記述型の模試。'00年度受験者は35万人。
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福岡県立筑紫中央高校教諭
山本哲也
Yamamoto Tetsuya
教職歴16年。同校に赴任して6年目。進路指導主事。世界史担当。「自分を高めるには、自ら努力することを大切にすると同時に、自分を助けてくれる人との出会いも、生涯大切にしてほしい」
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福岡県立筑紫中央高校
1917年創立。全日制・定時制普通科の共学校。全校生徒数1436名。'01年度入試では九州大などの国公立大をはじめ、地元の西南学院大に71名、福岡大に196名が合格。
住所/福岡県大野城市中央2-12-1 電話/092(501)2259
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