VIEW21 2001.09  IT Introduction 情報技術が学校をどう変えるのか

コミュニケーションツールとしてのIT活用

校内のIT環境を整備し
積極的に情報発信

 本誌4・6月号では、学校のIT化、教育の情報化を推進する行政の方針や動きについて紹介してきた。行政によるIT化のプロジェクトや環境整備が推進される中で、高校現場における具体的な動きはどうなっているのだろうか。先進的な事例として、'95年に立ち上がった「100校プロジェクト(※注)」に参加するなどいち早く学校のIT化に取り組み、ITをコミュニケーションツールとして活用している北海道旭川凌雲高校の、奥村稔先生にお話をうかがった。


 「6年前に校内のネットワーク環境を整備し始めましたが、せっかくインターネットというツールがあるのだから、これを活用して何か新しいことを始めようと考えました」と、開口一番奥村先生は語った。まず最初の2年間は、校内のネットワークの環境整備と、生徒がインターネットを自由に利用できる仕組みの構築に力を入れたという。

活用のメリットを伝えIT環境を整備

 ネットワーク環境の整備に向け、'95年4月にはインターネットの専用回線が敷設され、ほどなく共用端末3台を含む5台のコンピュータが職員室に配置された。身近に端末があることで利用に当たっての精神的な敷居が低くなり、しばらくすると各教師がインターネットを使うようになった。それぞれの校務分掌でもコンピュータを活用する場面が増えた結果、現在はほとんどの教師が日常的にコンピュータを使いこなしているという。同年夏には校内のLANも整備されている。
 さらに次の段階として、アプリケーションとしての成績処理システムをネットワーク上に乗せた。「こうすると業務が非常に効率的なことが分かってきたのです。活用するメリットを具体的に示し、実際にその便利さや面白さを実感してもらわないと、周囲の理解はなかなか得られません」
 こうしてネットワーク環境の整備に向けて徐々に理解が得られ、具体的な整備計画の立案と教師向けの校内研修が行われた。
 現在、同校のコンピュータ教室には41台のコンピュータがあり、昼休みと放課後の午後6時(部活動の生徒は午後7時、土曜日は午後5時)まで生徒が自由に使用できる。生徒会活動や部活動での利用をはじめ、地理の授業では世界各国の地誌を検索し、旅行のルートを立案するなど、どの教科の授業でも自由に使える態勢が整えてある。「特に昼休みは、41台すべてが活用されています。普段の授業態度とは違った一面を見せる生徒もいて、好きなことには熱心に取り組めるんだなと改めて思いますね」

(※注)100校プロジェクト…初等中等教育にコンピュータネットワークを利活用する試みとして、当時の通商産業省と文部省との協力で実施されたプロジェクト。


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