こうしたことを考えると、高校生がこれから進路を決める上では、次のようなことが重要になる。
- 高度な国家資格を要する職業に就こうとすれば、大学院への進学を考慮する必要がある。ビジネススクールやロースクールはどの大学にできるのかを知っておく。(将来は理系学部もこうした動きがあるので注意が必要)
- 大学や企業で最先端の研究をしたい場合や、起業家を目指す場合も、大学院進学を視野に入れておく必要がある。
- 大学院まで行く必要がない場合は、どの大学が質の高い教育をしてくれるかの評価をきちんと確認して、偏差値だけではなく教育内容で大学を選ぶことが大切である。
なかでも
- 先輩による授業内容の評価が良い
- インターンシップや、進路ガイダンスなどの制度がある
などは、大学を選ぶ上で、今後重要なポイントになると思われる。また、入学後、他大学の大学院への進学を志望した場合、十分な指導が受けられるかという点にも留意したい。
まとめ 多様化する入試と求められる基礎学力
大学の構造改革は高校からすると見えにくい。だが、これから'03年にかけて、大学の再編・統合、プロフェッショナル・スクールの整備など、具体的なことが明らかになってくるだろう。大学は顧客である高校生や保護者に対して、できるだけ早くその方向性を見せてほしい。
また大学は、大学改革と合わせて高大接続(入試)改革も求められている。アドミッションポリシーに基づく入試を実践したり、多様な入試で多様な能力を持った学生を取ることができるようにアドミッションオフィスを設置する大学も増えてきた。実際、入試の多様化という面では、「教科横断型の総合問題を課す」、「英語でリスニングテストを課す」、「医学部で理科3科目を課す」といったことを検討したいという大学がいずれも4割を超える。こうした入試の多様化や、入学後に必要な科目を入試の段階できちんと課すという動きは今後益々増えると思われる。
一方で、国大協は入学者の学力を維持することを目的として、'04年度入試からセンター試験で原則5教科7科目を課すと言っている。前述のように、すべての大学で同じような5教科7科目というわけにはいかず、理科2科目・社会2科目という標準型以外にも、理科や社会の負担をどちらか1科目減らした変則型、それよりもさらに負担の少ないアラカルト型が混在するだろう。しかし、多くの国立大学では
(文系)国語1 社会2 数学2 理科1 外国語1
(理系)国語1 社会1 数学2 理科2 外国語1
といういわゆる変則型の5教科7科目(共通1次当時でいう5教科6科目)が課されそうだ。
その'04年度の2年後('06年度)には、新課程入試も始まる。変化が激しい時期だけに、入試改革の方向をしっかり把握しなければならない。
大学・高校が学生の多様性を認め、個性を伸ばすという「ゆとりの教育」を意識しながら、それでも最低限「詰め込むべき」知識は何なのかということを改めて考え始めたという点が注目される。
今回の大学の構造改革が、高校生の進路選択に望ましい影響を及ぼすことを期待したい。
<前ページへ
|