VIEW21 2001.09  点から線の教育へ 中・高・大接続の深化形

これからの進路決定に重要な視点とは

 大学改革に関する様々なプランを見ていると、今後は大学院の重要性がかなり増すように思う。それは「大学院に企業人を早期に2万人受け入れ」、「プロフェッショナル・スクールの重点的整備」といった文言にもよく現れている。このうち、「プロフェッショナル・スクール」はアメリカでは一般的だが、日本では慶応大をはじめとした経営学修士課程(いわゆるビジネススクール)が現存する程度である。ロースクールは'04年からのスタートになるし、メディカルスクールなどはまだ具体的な構想まで至っていない。そのビジネススクールに関しても、アメリカのようにMBAを取得したいという人は少ない。そのため、日本でも学位取得者の企業内での処遇を改善しようという考えが出てきている。もしそれが進めば、ビジネススクールの数も学生の数も大幅に増加するだろう。
 では、'04年から始まるロースクール(図3)はどうだろうか。先進国の中で極端に少ない法曹人口を何とかするための構想が実現したもので、既に多くの大学が構想をまとめたり、シンポジウムを開催したりしている。恐らく早期に法曹界へ進むメインルートになるものと思われる。つまりこれからは、法科大学院に入学し、そこで3年間(法学部卒業生は2年間)学習した後、司法試験を受験するという方法が一般的になる。ポイントは、知識教育重視と言われた現在の司法試験から、実践教育重視の資格試験的な新・司法試験へと変わることだろう。また当然のことながら、このロースクールへの入学試験では厳しい競争が起こることになる。
 これ以外にも医学部の学士編入学枠の拡大が行われたり、JABEE(日本技術者教育認定機構)が工学系の学部のプログラムをある基準に照らして認定する試みを行ったりと、動きはいろいろ出始めている。またもしトップ30大学に重点的に資金が配分されるようになれば、高度な研究をしたい者はその30大学に進学した方がよいことになる。ベネッセ文教総研が'00年、全大学の学長・学部長に対して行ったアンケート調査結果では、そうした最先端の研究者養成や高度な資格を要する職業人の養成を目指すとした大学は圧倒的に偏差値が高い大学に多かった。(表2

法律家になるためのルートはこう変わる

目指すべき人材育成の方向

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