VIEW21 2001.09  特集 国際化を視野に入れた進路観の養成

校外の外国人を招いて行う「インターぴーぷるデー」

 さらに、同校では海外修学旅行や研修旅行、また校内での異文化理解のための行事の実施など、国際理解を目的とした多彩な取り組みを実施している。その最も特徴的な取り組みの一つとして挙げられるのが、4月に行われる「インターぴーぷるデー」だ。
 「インター……」は、姫路工大の留学生や近隣の中学校、高校で教えるALTなど20名近い外国人を招いて行われる、新入生の歓迎を兼ねた行事。内容は三部構成で、まず第一部としてレシテーション(2年生対象)とスピーチ(3年生対象)のコンテストが行われる。
 「3月に各クラスで予選を行い、生徒が採点してクラス代表を選びます。3年生のスピーチでは皆かなりのレベルの原稿を書いてきます。本校では全員参加の校内英語エッセイコンテストを行っているので、生徒は書くことに慣れているのでしょう」(武井雅弘先生)
 ゲストの外国人が、スピーチ、レシテーションを評価し、最優秀者を決めると、第二部はパネルディスカッション。昨年度は「効果的な外国語の学習法」、そして今年度は「異文化を持つ人との相互理解」がテーマ。ゲストの外国人と生徒による日本語での討論が全校生徒を前に行われる。

上級生のコミュニケーション力が新入生を触発

 この後、ゲストを各クラスに招いて『囲む会』が開かれる。1年生のクラスには、姫路工大の中国人留学生が訪れ、日本語を使って交流するが、2、3年生は英語を用いる。
 「本校では、各学年2、3割の生徒が、学校主催のオーストラリアや韓国への海外研修を経験しています。そのため、外国人と英語を使ってコミュニケーションすることに抵抗感がないのです」(武井先生)
 「インター……」は新入生にとって衝撃的なイベントだ。スピーチでは、原稿を棒読みしている生徒はおらず、身振り手振りを交えながら皆上手に聴衆に訴えかけている。先輩のように、英語を使って外国人とコミュニケーションできるようになるのだろうか……?
 「イベント中、校長は1年生に向かって『きみたちも将来は先輩たちのように英語が使えるようになります』と英語でスピーチします。このイベントでショックを受けるから、生徒は意欲的に韓国交流校訪問、オーストラリア語学研修などに参加するようになるのです」(武井先生)
 理系志望者が多い同校では、入学時点で英語が好きな生徒はむしろ少数だ。
 「しかし、これからの科学者・技術者には今後益々語学力が求められます。生徒には、国際的に通用する語学力の基礎をきちんと身に付けてほしいです」(山根先生)
 4月の「インター……」、そして頻繁に各国から同校を訪れる海外の高校生の存在などにより「この高校では英語を使って外国人とコミュニケーションするのが当たり前」という雰囲気が生まれてくる。
 「校内外の海外研修プログラムに多くの生徒が参加し、そこで自信をつけて学校に戻ってきます。自分に自信があるから、さらにまたいろんな行事に積極的に参加できる。英語の成績は決してよくない生徒でも、伸び伸びとコミュニケーションしています」(武井先生)

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「インターぴーぷるデー」では各教室に外国人ゲストを招き、交流が行われる。

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