英語教育の新機軸
4技能を “英語のシャワー”でトータルに伸ばす
鴎友学園女子中学校・高校はコミュニケーション能力の育成を早くから重視し、6年間を通して「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能をバランスよく身に付けさせる指導を実践している。授業で英語を使う機会を多く設け、生徒に「英語のシャワー」を浴びせるというその指導について、3人の先生にお話をうかがった。
発表する場を設定
「本校では、英語を武器に国際社会で活躍できる女性の育成を目指しています。単に大学入試のための英語学習ではなく、自分の意思を英語で相手に伝えられるような、実社会で役立つ英語を身に付けてほしいのです」
進路指導部長の吉野明先生が語るように、鴎友学園女子中学校・高校では国際社会における共通の意思伝達の手段の一つとして、コミュニカティヴな英語学習に力を入れている。英語科の五十嵐淑恵先生、関谷哲雄先生は同校の指導の流れを次のように説明する。
「英語学習が始まったばかりの中学1、2年次から、生徒が『聞く』『話す』『読む』『書く』の4技能をフルに活用しながら英語を学んでいく指導を心掛けています。生徒の発達段階に応じて、コミュニカティヴな活動を積極的に盛り込んでいます」(五十嵐先生)
例えば、同校では中学1年次の段階から、英作文を数多く生徒に書かせている。自己紹介など比較的敷居の低いものから、“アメリカの友人から送られてきたEメールを読んで返事を書く”といったタスク型の作文まで取り組む。
「中学2年次になると、スキットをたくさんつくらせます。電車の中での友人との会話、デパートでの買い物の最中とか、場面設定をしてから授業で習った表現を使って自由に文章をつくらせるんです」(五十嵐先生)
英語学習を始めて間もない時期のこと、生徒の語彙は当然少なく、文法の知識も未整理だ。「この段階で上手な英語である必要はない」と関谷先生は断言する。
「生徒は自分が使える英語力で、自らのメッセージを伝えるように頑張ればいいのです。キーとなる重要単語を教えることもありますが、ほとんどはそのまま自由につくらせてしまいます。慣れてくると、生徒は日本語を介さず最初から英語で書き始めますね」(関谷先生)
中学2年次ではスピーチにも挑戦させる。自分で起承転結のある文章展開を考え、みんなの前で発表する。「英語学習の初心者の段階でも、考えたことを発表する場は多い」と五十嵐先生は言う。
「自分の考えを話したり書いたりする機会が多ければ、次第に自分を表現する工夫もできるようになってきます。すごく簡単な文章だけど、言いたいことは伝わってくるという文章が、だんだん話したり、書いたりできるようになるんです」(五十嵐先生)
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