VIEW21 2001.10  英語教育の新機軸

プラス思考で評価する

 同校の英語指導の特徴を示すキーワードは「英語のシャワー」。つまり、授業の中で生徒が実際に英語を使う機会を多く設け、生徒個々が主体となって相互に英語を受発信することでクラスに英語が溢れる、というわけだ。
 「中3から高1、高2にかけてペーパーバックをサイドリーダーとして数多く読ませています。最初は大変かもしれませんが、やはり原書は英語の世界に触れる格好の場ですから。一言一句じっくり読むのではなく、ざっと読んで大意をつかむような読み方を早い時期から行わせています」(関谷先生)
 「英語のシャワー」を生徒に浴びせる上で同校の教師が配慮するのが、生徒をプラス思考で評価することだ。そして同校の評価スタイルに影響を与えたのが『英語コミュニケーション能力テスト』である。同校では、中学3年次から高校2年次まで毎年『英語コミュニケーション能力テスト』を受験する。中でも中学3年次と高校1年次は、同じBasicタイプを受験する。二つの学年の結果を比べ、強化ポイントを発見することが目的だ。
 「例えば、ライティングにあまり伸びが見られなかったのは、高校生になって、ミスを恐れて英作文を書くことに慎重になりすぎたからのようでした。そこで生徒が伸び伸びと英語を使えるように、ミスによる減点式ではなく、まず書けたことを評価しようと心掛けるようにしました。『英語コミュニケーション能力テスト』は、伝えたいことがどのくらい伝わっているかという点をプラス思考で評価しているので、その点も参考になりました」(五十嵐先生)
 ミスを恐れず表現する姿勢が、同校の生徒の英語力の礎となっているのだ。


鴎友学園女子中学校・高校
1935年(昭和10年)創立。創立当初より国際理解、英語教育に力を入れている。'01年度入試では、東京大に2名、東京都立大に9名など国公立大に50名、私立大では、慶応大に37名、早稲田大に60名、立教大に50名、青山学院大に38名など多数の合格者が輩出。
住所/世田谷区宮坂1-5-30 電話/03(3420)0136

写真 吉野 明 写真 五十嵐淑恵 写真 藤原宏之
鴎友学園女子中学校・高校教諭
吉野 明
Yoshino Akira
教職歴27年。同校に赴任して28年目。進路指導部長。「一人ひとりの生徒が本校において、また卒業してからも、いきいきと生きていける、そんな学校にしていきたい」
鴎友学園女子中学校・高校教諭
五十嵐淑恵
Igarashi Yoshie
教職歴21年。同校に赴任して22年目。英語科主任。「生徒には、自分の意見をしっかり言える、そして世界に羽ばたけるような女性になってほしい」
鴎友学園女子中学校・高校教諭
関谷哲雄
Sekiya Tetsuo
教職歴17年。同校に赴任して18年目。国際理解教育係主任。民間企業を経て同校に勤務。「世の中には、いろいろな人がいて、いろいろな違いがあるからこそ面白いということを伝えていきたい」

<前ページへ

このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。

© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.