自転車で1年半をかけて回り道を通ってきたからこそ 今の僕がここにいるんです
旅を通して僕は夢も見つけました。旅の途中で心を動かされたのは、その土地に根を下ろして、自然と共に力強く生きる農村の人々の生き様でした。額に汗して作物をつくるこの人たちのように暮らしたい。この人たちの役に立ちたい。いつしかそう願うようになりました。「大学で農学を学ぼう!」。20歳になったばかりの僕はそう決意しました。
予備校に通い始めた当初は、テキストの内容も講師の話も何一つ分からない状態でした。高校のときに真剣に勉強せず、2年間もブランクがあるのだから当然ですね。でも、諦めようとは思いませんでした。自分で決めたことに打ち込むのは充実感があり、何より、確実に学力が身に付いていくのが実感できることは楽しいことでした。毎日、5時間の睡眠時間以外はずっと勉強していた気がします。
僕が歩いてきた道は、確かに少し変わっています。でも、後悔したことはありません。人にはそれぞれの生き方があるし、これまでの経験があるから、今の僕がいるのですから。そして今、僕はもう長い旅に出ることはないと思います。毎日の生活の中にも、出会いや驚きがたくさんあることに気付いたからです。僕の「生きる力」は、毎日を自分で楽しめるものに変えていく力のことかも知れませんね。
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