今年度から全校挙げて取り組む体制ができ上がる

　去年の取り組みで大きな収穫を得たことにより、弘前中央高校の「総合学習」は、今年から全校体制で臨むことになった。教務主任・副主任、進路部長、1学年主任、2学年主任をメンバーとする「総合的な学習の時間小委員会」も結成された。
　今年から教務主任になった三上先生は、「去年、齋藤先生、小山内先生が苦労しているのを側で見ていましたから、今年は教務主任としてできるだけのことはしていきたいと思っています」と語る。
　今年の活動内容を簡単に見てみよう。現2年生は、昨年の「職業観の育成」を受け、今年は「進学先決定に向けて」をテーマに「キャンパス見学」「模擬講義」などを体験する。
　現1年生については、基本的に昨年度の取り組みを引き継ぎつつ、新しいものも取り入れていく予定だ。
　「例えば生徒に志望職業を選ばせた後、生徒同士で『なぜその職業を選んだのか』といったインタビューをさせることも考えています。また、昨年訪問した企業の中には、より実りのあるものにするために、こんな訪問内容にしたらどうかと我々に提案してくれているところもあります。学校外の力も借りながら、意義があるものは積極的に取り入れたいと考えています」（中野先生）
　3年生は今のところ「総合学習」の対象に入っていないが、齋藤先生は将来的には「総合学習」の成果を発展させる活動として、小論文指導を行うことを考えているという。
　1年間の活動を通して浮かび上がってきた「総合学習」の成功へのポイントがある。その一つが、取り組みの全教師による共有化だ。そこで今年度、三上先生は教務主任として「総合学習」にかかわる資料はすべて全教職員に配るようにしている。学年で取り組んでいるものはその途中経過の資料も含め、また生徒へのアンケートなどについても、「総合学習」に関するものはすべて校内に流通させ、全教職員の共有化を図るようにしているという。
　もう一つのポイントは評価の仕方だ。
　「去年は3段階評価でしたが、単純に段階評価するのではなく、もっと具体的にこの生徒はこの部分の活動がよかったという評価の仕方ができればと思っています。今後の検討課題です」（齋藤先生）
　'03年度、全国の高校で「総合学習」が始まる。弘前中央高校では、現在の取り組み内容に改善を加えながら、そのまま移行させる可能性が十分にあるという。それだけの手応えが今の活動から得られているからに違いない。