加速する大学の教育改革
大学の構造改革に 高校の進路指導はどう向き合うか
国立大学の独立行政法人化から大学・大学院の機能分化、センター試験5教科7科目実施まで、進路指導を行う際に、教師が視野に入れておくべき様々な変化が大学に生じている。大学の教育内容の改革の概要とその背景、そして高校の進路指導への影響を考える。
専門性の高い人材育成で さらなる社会貢献を求められている大学
本誌9月号「点から線の教育へ」では、大学の構造改革の高校の進路指導に及ぼす影響を取り上げた。急激な改革の背景には、「経済活性化のためには、モノ・金・情報以上にヒトが不可欠である。しかし、日本の大学はヒト(人材)の育成において貢献度が低い」という産業界からの厳しい批判がある。
日本の大学では、教員の関心の中心は教育よりも研究であり、学生は専攻分野に関する高い専門性を身に付けることなく卒業する場合も少なくない。これは日本では就職、または就職後の処遇において大学での学業成果が重視されることが少なかったことにも起因している。
ところが、欧米の大学では専攻分野に関連する幅広い教養教育や専門基礎教育が非常に重視されている。学生は熱心に学び、内容を深く理解しなくては先の課程へは進むことができない。学生への評価も厳しいが、同時に教員の授業も学生から評価される。この双方に緊張感のある教育が、専門性の高い人材を育成する土壌となっている。また、大学卒業後、プロフェッショナルスクールに進んで資格を得た者には、企業の処遇でも大きな差が生じるし、研究室から起業家として独立していく学生も多い。
これらの状況の違いが、日本と欧米における「大学の産業界への貢献度」の違いにつながっていると思われる。
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