VIEW21 2001.10  特集 加速する大学の教育改革

社会のグローバル化は大学の教育改革を推し進める

 グローバル化・ボーダーレス化が進むと、日本の大学教育も既存の体質を維持しているわけにはいかなくなる。『通商白書2000』には「経済のグローバル化に伴い、国際制度間競争と制度改革の動きが各国で高まっている。医療や教育分野においても、各国の改革努力の同時期化・共鳴化が見られるが、こうした制度間競争は経済のグローバル化や情報技術の進展により加速される」とあり、なかでも司法制度改革と教育サービス改革が最も改革スピードの速い項目と位置付けられている。日本と各国の人口10万人当たりの法曹人口を比較すると、アメリカはもとより、欧州各国と比較してもいかに少ないかがよく分かる(資料1)。司法制度を変更し、欧米並みの合格率(70%程度)の新しい資格試験的な司法試験の実施を目指して、'04年度からの日本版ロースクール(法科大学院)の整備を急がせたのにはこうした背景がある。

資料1

本格化する第三者による大学の評価

 グローバルスタンダードの中で行われる教育サービス改革が、高等教育に最も影響を与える取り組みの一つに、「第三者による大学評価と情報公開」がある。'01年6月に文部科学省から発表された大学の構造改革方針の3番目にも、「大学に第三者評価による競争原理を導入する」とある。そしてその評価結果に基づいて、資金を重点配分する大学や、世界最高水準の研究内容を目指す大学を選定する。そのため大学は研究・教育を、高い評価に値するものに改革することが急務になっている。
 大学評価は、アメリカなどでは以前から幅広く行われており、既にシステムは確立している(資料2)。日本でも大学評価・学位授与機構による国立大学への評価活動が始まっている。今後は研究・教育の両面で、大学の質の向上を目指した評価活動が活性化していく。高校の進路指導においても、情報公開される大学評価の結果内容を踏まえることが必要な時代になると思われる。

資料2

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