VIEW21 2001.10  特集 加速する大学の教育改革

大学教育改革の背景1

第三者評価により
大学の教育がより透明化する

――大学評価・学位授与機構の評価事業部長に聞く

 大学評価・学位授与機構は'00年度より大学の第三者評価活動を開始している。'01年度末には早くも最初の評価結果が一般に公開される予定だ。大学評価の実施について山本晃評価事業部長にうかがった。

大学の活動のレベルアップを目指して

 大学評価に関する第三者機関の設立は'98年度の大学審議会の答申で提言された。山本部長はそのねらいを次のように説明する。
 「客観性・透明性の高い大学評価を行い、大学がその結果を教育活動と研究活動の改善に役立てること、大学の活動状況を広く社会に公開することが目的です。この評価活動は、何か一つの基準に応じて大学を序列化するためのものではありません。評価結果は各大学にフィードバックされ、大学が自らの目的・目標の達成状況を振り返り、活動をレベルアップさせることが重要だと考えています」
 大学評価・学位授与機構が行う大学評価は、次のプロセスで行われる。
(1)大学評価委員会及び各専門委員会が評価の内容・方法を決定する。
(2)各大学は実施要綱に基づいて自己評価を行い、自己評価書を作成する。
(3)専門家による評価チームが書面調査と訪問調査やヒアリング調査を行い、評価報告書原案を作成する。
(4)大学評価委員会は評価結果を該当の大学及び社会へ公表する。
 評価結果が公表される前に、意見申し立ての機会があるとはいえ、部外者を受け入れ、しかも他大学とも同時期に評価が公開されることに大学内部からの反発はないのだろうか。これに対して山本部長は、評価の実施を積極的に希望する大学も少なくないと言う。
 「構造改革が進む中、各大学とも特色を活かした改革が急務です。現状を分析することは、大学の強みを伸ばすことにつながります。外部の客観的評価を踏まえた検討を行うことが、改革を進めるきっかけになるという期待があるようです」

図

高校の進路指導への有効な活用

 機構の評価は、大学自身の目的・目標に即した評価であるため、他大学と比較ができないなど、一見、高校が進路指導に活用するには難しいようにも思える。
 「評価報告書には、各大学の目的・目標を載せますし、社会に分かりやすくという観点から、評価結果は『目的・目標に十分貢献している』から『大幅な改善の必要』までの4段階評価で示したり、研究評価については対象組織の水準がどのようになっているかについて、卓越、優秀、普通などの割合を示すことにしています」(山本部長)
 客観性の高い大学評価は、高校の進路指導にも今後、十分に活用が期待できそうである。


写真 山本 晃
大学評価・学位授与機構
評価事業部長

山本 晃
Yamamoto Akira

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