VIEW21 2001.10  特集 加速する大学の教育改革

インターンシップ制度

 学生がその専攻や将来の職業に関係する企業で、実際に就業体験をすること。多くの場合、春休みや夏休みを利用して行われ、期間は2週間から1か月が中心となっている。インターンシップには、(1)大学で学んだことを実社会で試してみる機会が持てる、(2)企業がどんな知識や技術を持った人材を求めているかをつかむことができる、(3)自己の職業適性を考える契機になる、などのねらいがあり、その後の大学での勉強に活かすことができる。
 文部科学省の調査では、'00年度のインターンシップ実施大学は全国で218校、全体の33.5%となっている。'96年度の17.7%と比べてほぼ倍増であり、特に国立大では既に約7割が導入している。
 インターンシップは従来、あくまでも学生の就業体験が目的であり、企業の採用活動とは一線を画してきた。しかし、最近一部の企業が採用に結び付くインターンシップをスタートさせたことに対して、就職活動の長期化や採用前倒しにつながるという批判が出ており、新たな課題となっている。

第三者評価

 '98年の大学審議会の答申「21世紀の大学像と今後の改革方策について」では、大学の教育、研究、組織運営などを評価する公的な第三者評価システムの導入が提言された。これを受けて'00年に、学位授与機構が大学評価・学位授与機構に改組され、大学評価が新たな事業として付け加えられた。大学の教育・研究活動の改善に役立ててもらうと同時に、国民への幅広い情報提供をねらいとしている。なお、大学評価・学位授与機構は現状、国立大学が対象となっているため、文部科学省では今後、専門家委員会の新設も含め、全大学を対象とした第三者評価の実施を予定している。
 第三者評価機能を持つ組織としてはこの他に、加盟大学によって構成される大学基準協会がある。同協会では、協会への加盟申請があった大学に対して基準を満たしているか判定したり、大学相互の評価を独自の基準で行っている。
 また、'99年にはやはり民間団体として、工学部などの技術者養成系の大学・学部・学科の教育プログラムが社会の要求水準に達しているかどうかの認定を行うことを目的とした日本技術者教育認定機構(JABEE)が発足した。

専門大学院(プロフェッショナルスクール)

 社会の高度化、複雑化が進む中で、高度な専門知識、技術を持つ人材の養成がこれまで以上に求められるようになった。そこで文部省(当時)は'99年、大学院の設置基準を改正し、高度専門職業人養成に特化した実践的な修士課程の研究科、または専攻を置くことができることとした。これを専門大学院(プロフェッショナルスクール)と呼ぶ。経営管理、法律実務、国際開発・協力、公共政策、公衆衛生などの分野の専門大学院が望まれている。
 このうち既に各大学で新設が相次いでいるのがビジネススクール(経営学修士課程)だ。実際に企業が直面している問題をケーススタディとして扱いながら、情報収集能力や課題解決能力を養っていく。
 また'04年度からはロースクール(法科大学院)がスタートする予定だ。現行の司法試験制度では、受験テクニックに秀でた者が合格できる仕組みになっているという批判が多い。そこでロースクール構想では、法曹人口の拡充を目的としたしっかりとした実務教育を3年間かけて行い、一部の例外を除いてこれを修了することを司法試験の受験資格としている。


<前ページへ

このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。

© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.