VIEW21 2001.12  IT Introduction 情報技術が学校をどう変えるのか

 また、月2回の土曜日を利用した、「WORLD DAY」と呼ばれる総合学習の時間でも、ITが積極的に活用されている。
 「中2では、提携校であるマレーシアのクアラルンプール・アガマ中学校の生徒と、メール交流やネットミーティングをします。英語でコミュニケーションを行うのは彼らにとっては骨が折れるはず。でも、生徒は早く相手と友達になりたい、もっと自分のことを知ってほしいと一生懸命で、この時ばかりは、辞書を片手に英作文に集中します。IT活用を通して、英語はコミュニケーションのツールとして重要なんだと実感できたのではないでしょうか」(手塚先生)

生徒自身が教材づくりに取り組む

 このようなIT活用は、現在は中学校が中心だ。しかし'02年、中学校の第1期生が高校に進学する。ノート型パソコンを「文房具のように」使用してきた生徒が入学してくることで、高校でのIT活用も大幅に変化していくのではないかと予想される。
 高校で地歴・公民を担当している杉浦正和先生は、「高校ではどうしても受験に重きを置いた授業を展開せざるを得ないので、中学校のようにパソコンを頻繁に用いるのは、もしかすると難しくなるかも知れません」と前置きしつつも、「基本方針は中学校と変わらない」と語る。
 「研究テーマを設定してHPを作成したりなど、高校でも活用の機会をつくることは十分できます。公民の授業では、ディベートを行っていますが、その結果をパソコンでまとめさせようと考えています」(杉浦先生)
 芝浦工大柏高校は、四年制大への進学を希望する生徒が大多数を占める。早川先生は、「高校では、中学校での試みをさらに一歩進めて、生徒が自分の進路、将来の目標について、もっと考えられるようなIT活用の可能性を考えていきたいと思っています」と、今後の展望について語った。
 「HPをつくるにしても、自分の研究テーマをパソコンでまとめるにしても、将来自分が就きたい職業や、学びたい学問に関連させたテーマを選ばせるようにしたいですね。また、英語や古文の単語帳を生徒自身がパソコンでつくってデータベース化するなど、受験勉強に使えるような教材づくりにもより積極的に取り組んでいきたいと思います。例えば、シンククエストにエントリーした『梶井基次郎の”檸檬“研究』などは、十分授業でも教材として使えるものです。将来的には、生徒がつくった教材を学校の財産としてみんなで共有、活用していく形をつくっていきたいですね」(早川先生)

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千葉県芝浦工大柏中学高校
1980年創立。中学校は1998年に新設された。普通科の共学校で、高校の生徒数が1学年約280名。'01年度入試では筑波大9名、千葉大3名、東京工大2名、早稲田大20名、東京理大27名をはじめとする合格実績を挙げる。
住所/千葉県柏市増尾700番地 電話/0471(74)3100


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