パソコンの価値を生徒自身が見極める
それでは、教科指導にパソコンを導入することの効果を、同校の教師はどう考えているのだろうか。
「もちろんパソコンを使ったから成績が急に伸びるということはありません。パソコンはあくまでもツールなのですから。しかし、情報収集能力は確実に上がっています。また、レポートなどはパソコンでまとめることで、手書きよりも早く仕上がります。その分、発表する時間を多く設けることができるようになりました。結果的に、プレゼンテーション能力の向上にも役立っているのではないでしょうか」(野村先生)
さらに、もう一つ特筆すべきなのは、パソコン活用を通して、生徒がパソコンを使うシーンと使わないシーンを自分たちで区別できるようになったということだ。
「パソコンを使うスキルが十分あるのに、レポートや課題をわざわざ手書きで書いてくる生徒もいるんですよ。生徒は、パソコンでの表現方法には限界があり、手書きの方が自分の個性を表現できる場合もあると分かっているのですね。文章はパソコンで入力して、イラストは手書きにするなど、どんなツールを使えばより効果的かを各自が考え、いろいろ工夫するようになりましたね」(早川先生)
また、パソコン活用によってコミュニケーション能力も向上した。
「生徒たちは、HPやテーマ学習の資料を探すために、インターネットなどを通して、学校外の様々な方とやりとりをしています。理科では、生徒がレポートに掲載する写真を、研究所から何枚も借りてきていました。また、国語では、著名な大学教授にメールでアドバイスをしていただくということがありました。メールの書き方や著作権についての知識は教えますが、あとは、生徒が自主的に取り組みます」(早川先生)
コミュニケーション能力を高める総合学習
同校では、教科指導でのパソコン活用の他にも、様々なIT活用の取り組みを行っている。その中の一つは、「シンククエスト@ジャパン」という、全国規模で行われる中高生のHPコンテストへの参加だ。
このコンテストでは、中高生がチームをつくり、自分たちの役に立つような教材Webを作成する。テーマは、生徒が自分の興味に沿って選択するのだが、「梶井基次郎の『檸檬』研究」「ROBOT OF STRUCTURE」「介護保険について」「星座について」など多岐に渡っている。'01年は、中学2年生が中心となって参加し、2チームが金賞、銀賞を受賞した。
「シンククエスト@ジャパン」にエントリーし、金賞を受賞した「梶井基次郎の『檸檬』研究」のホームページ。同校では、このような生徒自身による教材づくりを、今後も積極的に進めていきたいと考えている。
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