VIEW21 2001.12  IT Introduction 情報技術が学校をどう変えるのか

生徒が自主的にスキルを身に付けていく

 インターネットでの情報収集が、主な活用方法となるのが社会や理科だ。「各国の政治、経済、文化など、授業に必要な情報は、インターネットを使って、その都度最新のものを集めさせている」と社会担当の野村春路先生は言う。一方、理科では実験レポートをパソコンを使って制作している。顕微鏡で撮った細胞の写真などをダウンロードし、生徒がコメントやまとめの文章を添え、保存していく。学校独自の資料集ができるというわけだ。写真や表など視覚的な資料の活用が学習効果を高める社会や理科では、パソコンは一層効果的に活用できる。
 このように中学1年次から授業の様々なシーンでパソコンを活用する同校だが、すべての生徒が授業で使えるまでにパソコンスキルの向上を図るには、かなりの指導が必要なのではないだろうか。
 「生徒はパソコンが大好きですから、そこは心配する必要はありません。例えば数学の授業では、1学期の終わりに表計算ソフトの使い方を教えます。そこで小テストの点数をグラフ化して、平均点を出させたり成績分析を行わせますが、使い始めてしばらくすると、私が教えたものとは違うグラフをつくる生徒が出てくるんです。すると他の生徒が『それ、どんなふうにつくったの? やり方教えてよ』と、その生徒の周りに集まってきて……。お互いに教え合い、試行錯誤しながら、どんどんスキルを身に付けていきます。教師が教えるというよりも、生徒たちが相互に学び合っているのが実情なのです」(中村圭先生)
 同校のコンピュータシステムの管理、開発などの中心的役割を務めている情報室の丸山広光先生も「スキルは生徒が自発的に身に付けている」と語る。
 「若い世代はやはりパソコンに抵抗感がないんでしょうね。興味を持って自主的にソフトの使い方を研究する生徒も多いようです。学校のHPなどに対して、『もっとこうすれば見やすいのに』などとアイディアを出してくる生徒もいるほどです」(丸山先生)
 その他にも同校では、生徒がパソコンを使って自主的に教科学習に取り組めるような工夫を積極的に行っている。例えば国語では、中学2年生用に、古文文法を生徒が自由に勉強できるHPをつくっている。まず解説を読み、その後確認問題と応用問題にチャレンジするもので、生徒は自分が好きな時に取り組める。
 また、LL教室で行う英語の授業では、英会話用のソフトを用いて、発音や対話の練習を行っている。「ゲーム感覚でコンピュータと英会話ができるので、生徒にとっては、英語学習の動機付けになっている」(手塚先生)と言う。


写真 早川千春 写真 丸山広光 写真 杉浦正和
芝浦工大柏中学高校教諭
早川千春
Hayakawa Chiharu
教職歴9年目。同校に赴任して9年目。入試広報室次長。国語担当。「生徒にやる気を出させる仕掛けづくりが大事ですね」
芝浦工大柏中学高校教諭
丸山広光
Maruyama Hiromitsu
教職歴30年目。同校に赴任して22年目。総合学習担当。「生徒が興味を持って取り組めるような授業を展開したいですね」
芝浦工大柏中学高校教諭
杉浦正和
Sugiura Masakazu
教職歴21年目。同校に赴任して21年目。地歴・公民担当。「ディベートなど生徒が主体的に動ける仕掛けを大切にしています」
写真 野村春路 写真 中村圭 写真 手塚耕二
芝浦工大柏中学高校教諭
野村春路
Nomura Harumichi
進路部長。教職歴18年目。同校に赴任して18年目。社会担当。「勉学・気持ちともふくらみのある生徒を育成したい」
芝浦工大柏中学高校教諭
中村圭
Nakamura Kei
教職歴9年目。同校に赴任して9年目。数学担当。「常にアンテナを張りめぐらせて生徒の状態をつかむようにしています」
芝浦工大柏中学高校教諭
手塚耕二
Tezuka Koji
企業に5年間勤務。教職歴3年目。同校に赴任して3年目。英語担当。「生徒とのコミュニケーションを大事にしたいですね」

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