効果的な取り組みのための手順とポイント
大学入試の直前指導
「選択力」を活かした大学受験のために
いよいよ大学入試が目の前に迫ってきた。12月から入試本番までのこの時期、生徒は精神的に不安定になりやすく、教師には学習指導、進路指導においてより綿密な個別対応が求められる。職業研究、学部・学科研究、そして大学研究を通して養ってきた「選択力」を活かした大学受験のために、時期別にそれぞれの指導の要点、注意すべき点などを考えてみたい。
選択力を活かした受験とは
12月以降は選択力の真価が問われる時期
前号、前々号で述べてきた「選択力」の真価が問われる最大のシーンがこの時期と言える。生徒は生徒なりに様々な選択の経験を積んできている。文理選択や科目選択などを経て志望校決定に至る選択の結果として、今の自分があることを改めて生徒に振り返らせる。自分の選択の経緯を見つめ直し、納得した上で、受験という大きな試練に前向きに臨むように指導したい。
そのため、この時期は生徒一人ひとりとの面談が特に重要になる。しかし、たびたび面談する時間的余裕がそれほどないのも事実である。そこで掃除の時間、廊下ですれ違ったとき、そんなわずかな時間を利用して生徒に話し掛けるように心掛けたい。また、そんな気軽な会話の中でこそ、生徒も心を開いて教師に接するものだ。
この時期は、生徒が受験校をより難易度の低いところに変更してくる時期でもある。職業研究、学部・学科研究、そして大学研究などを経て今の志望校があるのだが、入試という厳しい現実の前に生徒の心は大きく揺れてしまう。進路学習の結果、その大学や学部・学科が最も自分を活かせると判断して出した結論のはずなのに、それを簡単に諦めるのは、生徒にとってはもちろん、指導してきた教師にとっても辛いことだ。
志望が揺らいでいる生徒にはもう一度、これまでの選択の観点を思い起こさせる必要があるだろう。「A大学からB大学に変えたその選択は、本当にあなた自身にとって良い選択なのだろうか」「本当に○○学科に行きたいのかい?」と、この時期だからこそ原点に戻って問い掛けたい。
進路決定の際に生徒が求める情報
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非常に必要 |
まあ必要 |
講義内容や教授陣 |
20.1 |
35.3 |
入試の難易度 |
44.7 |
40.2 |
取得できる技能や資格 |
35.0 |
33.4 |
過去の入試問題の傾向 |
43.3 |
39.3 |
就職状況 |
32.3 |
37.1 |
学生生活の雰囲気 |
26.6 |
38.6 |
大学の施設・設備や環境 |
31.5 |
42.6 |
学風(校風) |
24.3 |
37.1 |
※文教総研「高校生の自己理解と進路展望」より
進路決定のために生徒が必要とする情報は、入試情報にとどまらず、生徒個々の志望に応じて多岐に渡る。大学入試の直前期、生徒が主体的に進路決定を行えるような支援が求められる。
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