VIEW21 2001.12  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 大学入試の直前指導

 逆に教師の側から志望校変更を助言しなければならないケースも出てくる。当然ながらその場合は、なぜ変更した方がよいのか、生徒が納得できるだけの十分な説明が必要だろう。単に「きみの学力ではB大学の方が合格の可能性が高い」というだけでは生徒は納得しない。「先生に他の大学を押し付けられた」という後味の悪さが最後まで残る。だが、B大学への変更がその生徒の人生において、意味のある選択であると納得すれば、生徒は教師のアドバイスを素直に受け入れるはずだ。

教師の側も選択力の観点を持って指導する

 生徒が選択力を発揮できるように支援するためには、教師の側にも生徒の選択力に対する考え方をしっかりと持つことが求められる。選択力を育成するという意識が特に必要となるのが、これからの時期である。
 職業研究、学部・学科研究、大学研究では、教師と生徒の考えが異なることはほとんどなく、教師のアドバイスにも生徒は素直に耳を傾け、実践しようとするだろう。
 しかし、受験校決定の場面では、教師と生徒の考えが一致しないことがある。もちろん、最終的に受験校を決定するのは生徒自身であり、進路指導の基本は生徒自身がより良い選択をできるようにサポートすることであるが、教師自身に「生徒の選択力育成」という考え方があるかないかで、生徒へのサポートの仕方はかなり異なってくる。その生徒にふさわしい進路を教師が指し示し、生徒が納得して新しい道を選ぶことが重要なのだ。たとえその生徒のためによかれと思って行った指導でも、一方的に押し付けられたと感じるようでは生徒に教師の思いは伝わらないだろう。大学入試直前の受験校選びにおいて、生徒自身が納得して決定するという点は絶対に外せない。
 受験生の置かれている状況は一人ひとり異なるので、クラスに40人いれば40通りの個別指導が必要となる。個々の生徒の選択力を見極め、すべての生徒がその力を最大限発揮できるような指導を行いたい。

表

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