VIEW21 2001.12  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 大学入試の直前指導

12月を迎えるまでに
入試本番に向けて指導方針を共有化する

 受験指導に限らず、生徒を指導するためには、教師集団の間で指導方針を共有化し、方向性を確認して生徒に対する必要がある。それがないと、「先生によって言うことが違う」と生徒の信頼を損ないかねないし、学年全体が一つの方向に向かっていくという勢いが生まれない。
 学年団のチームワークは、もちろん1年次から積み上げられるものだ。担任団で指導方針を確認し「こんな生徒にはどのように対応すればよいか」など、具体的なケースについても話し合っておく。その後も折に触れて指導方針を再確認していくことが大切である。
 教師集団のチームワークづくりが早い時期にできていれば、入試に向けてしっかりとした方針が立てられる。例えば、受験校決定のための説明会を9月に学年全体で行えば、生徒にとっても出願シーズンまで志望校について考える時間的余裕を持つことができる。また、入試直前になって保護者が子どもの志望校について急に反対することがないよう、早い段階で保護者と本音で話し合い、志望校について十分に納得してもらう機会をつくることも必要だ。教師、生徒共に多忙な3年次にこのような取り組みを円滑に行うためにも、学年団の年間を通した指導計画が不可欠だ。
 学年団と進路指導部は情報交換を含め、進路指導の方針を常に共有化したい。そうすれば、センター試験後の出願校決定にもチームで取り組むことができる。学年団と進路指導部、さらに教科主任が同じ視点でことに当たれば、生徒の信頼もより厚いものとなるだろう。

■part 1■ 12月~冬休み直前
弱気の芽を摘んで
最後まで挑戦する意欲を持たせる

 志望校を最終的に絞り込む時期である。生徒にはセンター試験で目標点に達した場合の第1併願パターンと、目標点を下回った場合の第2併願パターンの二つを考えさせておく。
 この時期、自信をなくして第1志望校を諦めようとする生徒が出てくる。その生徒には「現役生は最後まで伸びるから諦めずに頑張れ」と励ます必要がある。クラスにはその様子を見ている、言わば「弱気予備軍」がいる。クラスメートが安易に志望校を変更する様子を見て、「それならば私も」と次々と言い出す危険性がある。全員が最後まで諦めないで入試本番に臨む「みんなが頑張るクラス」をつくるためには、最初の弱気の兆候をつかみ、適切に対処しておくことが大切だ。
 後期日程試験の受験についても、この頃から意識させたい。後期日程試験のことが初めから頭にないと、適切な出願校決定ができなかったり、前期日程試験がうまくいかなかった場合、「もう浪人するしかない」とやる気をなくしてしまうことがある。「2度のチャンスを最後まで活かす」という意識持たせたい。私立大志望者を含め、「すべての挑戦が終わるまでが受験の期間」という気持ちをこの時期から持たせるようにする。


志望校記入用紙の例
表
入試で特に重要な科目、その配点などを整理させる。私立大では、受験スケジュールに無理はないかなどをチェックさせる。

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