■part 6■ 受験校決定のための最終面談
選択肢を提示して最後は生徒自身に判断させる
合格可能性判定が返ってきたら、受験校決定のための最終局面となる。特に時間をかけたいのは、センター試験で思うような得点を上げられず、志望校を変更するかどうかの決断を迫られている生徒だ。クラス担任としては、各教科担当の意見などを総合して、これまでの本人の「選択」の積み重ねを可能な限り活かす方向で助言をしたい。
判断が難しい場合、生徒自身も面談の場ですぐ結論を出せるものではない。適切と思われる数校の候補を挙げ、生徒が自分の将来の夢と冷静に照らし合わせながら判断できるようにサポートする。そして「先生はアドバイスはできるけれど、最終的には自分自身で決断するしかないよ。家でご家族ともよく話し合ってごらん」と、生徒に考える時間を与える。
面談の前に、学年団が集まり、生徒個々について指導方針を決める検討会を開く方法もある。担任一人では判断が難しいケースでも、複数の教師の目を通すことで、より適切な判断が下せる。面談のときも「進路の先生と、学年の先生みんなできみの資料に目を通したよ。その結果のアドバイスがこうだよ」と生徒に話すことができる。生徒も、教師全員が見てくれているという安心感と納得感で、そのアドバイスに素直に耳を傾けることができるだろう。
志望校を変更した生徒がモチベーションを維持しながら入試本番に臨めるか否かは、生徒が「将来の目標のために、自分自身でこの道を選んだのだ」という自らの「選択力」を発揮できたかどうかに掛かっていると言えるだろう。
■part 7■ 入試終了まで
入試途中での生徒の挑戦意欲の低下に注意する
2月から私立大入試が始まる。「1校1校を大切に受けておいで」と生徒を励ましたい。
センター試験後、登校が自由になっても、生徒が精神的に不安定になりがちな時期なので、なるべく学校に来させるようにしたい。そのとき、合否結果だけではなく、生徒の心の状態もチェックする。不合格だった生徒には、精神面のケアとその後の対策を講じる必要がある。不合格になって落ち込んでいる生徒には「力はあるんだから大丈夫」と次の受験に向け、奮い立たせるようにしたい。
国公立大が第1志望の生徒も、私立大に合格すると受験への挑戦意欲を失うことがある。本命の志望校の受験まで集中力を維持させるためには、第1志望校への憧れをかき立て、やる気を高めさせる必要がある。
また、保護者の意識は生徒に敏感に伝わる。ずっと受験勉強をしてきた我が子の姿が不憫になって、「既に合格した○○大でもいい」などと言うと、生徒の緊張感は切れてしまう。受験がすべて終了するまで生徒の意欲を保たせるよう、あらかじめ保護者にお願いしておきたい。
後期日程試験については、学部・学科によって募集人員が極端に少なかったり、試験科目に小論文や総合問題など馴染みの薄いものが課せられることがあるため、合格の可能性は低いのではと臆する生徒もいる。しかし、後期日程は前期日程の合格者は実際には受験しないため、実質倍率が予想以上に低くなるケースは少なくない。諦めずに挑戦すれば、十分合格の可能性があることを生徒に理解させて、意欲を持って臨ませたい。
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