韓国の先進的教育事例から ITを活用した指導の方向性を考える
'03年度新課程から始まる新しい教科「情報」に向けて、今、高校現場ではIT環境が整いつつある。しかし、IT普及の影響は、実は特定の教科にとどまらず、生徒の学びへの取り組み方そのものを変えていく可能性を持っているのだ。
IT活用によって生徒、そして教師はどう変わるのか。IT教育の先進国である大韓民国(以下、韓国)の指導事例を報告する。
はじめに
多くの面で日本と共通点を持つ韓国の教育事情
6年の初等学校(小学校)と3年の中学校を義務教育とする韓国。高校が3年、大学は4年と教育の大きな枠組みは日本と同じだ。そして、近年の教育現場の動きにおいても、両国は多くの共通点を持つ。'00年度より韓国では新教育課程(第7次教育課程)が施行され、教師から生徒への知識注入という従来型の指導スタイルから、生徒の主体的な学習を教師が支援するスタイルへと、大きな転換を図った。新課程では、IT教育(韓国ではICT教育=Information and Communications Technology Literacy Skills)と外国語教育が重視され、ITスキルを身に付けるための授業は小学校3年生から、そして英語の授業も小学校3年生から行われるようになっている。
特に、情報化社会を生き抜くためのITスキルの獲得が重んじられており、新課程では小学校から高校まで、教科の授業内容の10%は必ずコンピュータを活用して教えることが定められた。それに対応してインフラ面も整備され、'01年4月には、光ファイバーを利用した超高速インターネット回線の敷設がすべての小・中・高校で完了した。
日本に先駆けて大がかりな教育改革が行われている韓国だが、その成果と課題は何か。最も時代を反映した活動とも言えるIT教育を通して考えていく。
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