PART 1【教室でのIT活用】
あらゆる授業、すべての教室でITが生徒の学習を支援する
ここでは、主に教室での授業へのIT活用の状況を見ていく。教科学習をより楽しく、そしてより内容の濃いものにするため、どのような取り組みが行われているのだろうか。
ITが生徒を学校に引き付ける
韓国では教育人的資源部(日本の文部科学省に当たる機関)主導で、前述のように全国の小・中・高校に対しITのインフラ面が整備された。そして、2学期までにはプロジェクターなどの情報機器がすべての教室に1台ずつ完備された。梨花女子大師範大附属中学校のユ ミョンシム先生は「ICTは学校の魅力づくりに役立っている」と説明する。
「政府からの経済的な支援は今までは脆弱なものでした。そのため、学校には旧世代のパソコンが多く、使い勝手も悪かったんです。しかし、インフラ面での支援が充実することで、いろんな場面で、快適にコンピュータを使えるようになっています。生徒が今までよりも学校に行きたくなる、そんな環境づくりにつながるかも知れません」(ユ ミョンシム先生)
授業でのコンピュータ活用が義務付けられている韓国だが、実際の活用方法は各学校の判断に委ねられている。
最も一般的な活用法は、プロジェクターや大型モニタを用いた形式だ。社会科や理科はもちろん、英語や国語といった授業でも、これらを用いて参考となる写真や図、表などを生徒に提示する。各教室にはあらかじめこれらの機器が所定の位置にスイッチ一つで起動する状態で据え付けられており、教師は教科書付属のCD-ROMだけを授業に持参する。教師にとってもITを利用しやすい環境にあると言える。
情報収集、発表、討論などに興味を持って取り組む
児童や生徒が主体的にITを活用し、授業をつくり上げていく取り組みも数多く見られる。'00年度よりソウル市指定情報活用模範学校に指定された傍花(バンファ)初等学校の「社会科調査学習」もその一つだ。
社会科調査学習は、児童が社会的なテーマを自由に設定し、ITを用いて資料収集やアンケート調査を実施、その結果についてWeb上で討論を行うというもの。児童は自宅に帰っても、学校のWebページにアクセスすればいつでも自分の調査結果や意見を発表できる。扱うテーマは時事問題から日常生活(例えば、余暇の過ごし方など)まで様々だ。
小学校高学年になると、画像加工ソフトを使う練習も行われる。児童は玩具のような感覚でソフトを操る。(写真/梨花女子大附属初等学校)
児童がITを活用しながら、様々なテーマについて調べていく社会科調査学習。調査結果の発表の際にもグラフや図表が多用される。(写真/傍花初等学校)
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