高校生の学力と学習行動成立の要件
高校生の学力と学習行動の変化を分析する
小学生から大学生まで、日本ではその学力の低下が声高に叫ばれている。だが、その実態が客観的な分析結果を踏まえて議論されることは少なかった。本当に学力に変化が見られるのだろうか。今回の調査では、高校生の学力の変化と学習行動成立の要件を、学習指導要領や生徒の行動特性との関連を踏まえて分析する。
学力変化調査実施概要
この数年、中高生の学力変化、特に学力低下に関する議論が様々な場面で行われている。しかし、その多くは断片的な情報しかなかったり、十分なデータの裏付けがないもので、はっきりとした根拠に乏しい。そこで、ベネッセ文教総研では、文部科学省のご助言と東京大大学院教育学研究科、大学入試センター研究開発部のご協力をいただいて、高校3年生を対象とした学力変化を調査した。
調査の概要
調査は、'01年の6~7月にかけて、'95年度(一部'96年度)の高校3年生がその年の6月に受験したマークセンス方式の進研模試(33万7276名受験)を使用し、北は岩手県から南は鹿児島県までの公立高校15校4178名の3年生に受検してもらった。15校の協力校選定に当たっては、「ほぼ校内全員で5教科を受験している」、「その学校のある地区で、学区変更やクラス数の極端な変動がない」、「男女共学の普通科である」といった条件で行い、'95年度の模擬試験のときと同様に、校内で、調査ではなく「大学入試模擬検査」として実施していただいた。出題は、国語、地理・歴史(世界史・日本史・地理)、数学、理科(物理・化学・生物)、外国語(英語)の5教科9科目として、地理・歴史と理科はその中から1科目を選択してもらった。また、ベネッセ文教総研で'93年から調査を実施している生徒の自己概念に関する調査も同時に行った。
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ベネッセ文教総研主任研究員
鎌田恵太郎
Kamata Keitaro
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