VIEW21 2001.12  特集 高校生の学力と学習行動成立の要件

サンプル集団の特性

 15校の協力校はいずれも、'95年度・'01年度両方の6月実施進研模試のすべてを受験しているので、サンプル集団と全国母集団の関係を、'95年度・'01年度の進研模試の結果から検証してみた。
 その結果、ほぼ全員が受験している国語・数学・英語3教科総合のサンプル集団平均偏差値が、'95年度で51.37、'01年度で51.91となり、全国平均から見るとサンプル集団は若干レベルが高いという結果になった。ただし、偏差値度数分布の形態はほぼ全国と同様で、若干下位層が少なかった。
 なお、サンプル集団の'01年度の平均偏差値が'95年度に比較すると0.54高いが、これは、この6年間に成績上位の浪人生が減少したためであると考えられる。

地理・歴史、理科 科目別選択者数(率)

 地理・歴史、理科の各科目別選択者数・選択率は、図1の通りであった。受検者は各々1科目受検であったため、自分の最も得意な科目を選んで受検する傾向にあった。地理・歴史では世界史・日本史の選択率が低下し、一方で地理の選択率が上昇した。
 また理科は、'95年度の模擬試験では2科目受験していた生徒が多かったが、今回はほとんどが1科目に絞った受検であったため、物理と化学の受検者・受検率とも大きく減少した。しかしその条件の下でも、生物の受検者数にはほとんど変動がなく、受検率も上昇して、全体のほぼ半数が生物を受検している。

各教科・科目の受検人数と学力層の定義

 以下の分析の随所に利用している「学力層A・B・C・D・E」の定義を述べる。各科目ごとに受検者を正解率の高い順に並べ、人数で5等分(20%ずつ)し、上位から順にA層、B層、C層、D層、E層と区分した。各層境界の正解率は表1のようになり、その境界の正解率が偏差値でどの程度になるかを表1の右上に示した。各層境界の偏差値は'01年6月の全国模試と、今回の学力変化調査の両方を受験(検)した3800名のデータを用いて、模擬試験の3教科総合全国偏差値に換算して決定した。結果、A層とB層の分割点(cutting score)は偏差値59.5に相当する正解率で、これは通常難関大に合格の可能性があると判断するレベルである。また、C層とD層の分割点は49.8で、これは地元の国立大に合格の可能性があると判断するレベルである。この二つの分割点の前後で学力には大きな格差が存在するように思われる。

図

※本稿では、模擬試験では「受験」、今回の学力変化調査では「受検」の表記を使用します。


<前ページへ  次ページへ>

このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。

© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.