VIEW21 2002.2  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 新入生対象の学習指導

効果的な取り組みのための手順とポイント

新入生対象の学習指導

期待を胸に高校に入学する生徒の力を
引き出すために

 高校生活に大きな期待を抱く新入生たち。「高校生活を充実したものにしたい」という思いに応え、生徒個々の力を十分に引き出す指導が高校側に求められている。生徒のやる気を持続させ、前向きに勉強に取り組ませるためには何が求められているのか。学校としての指導方針の確立から日々の授業の具体的な指導まで、1年生の1学期を中心に考える。


新入生の指導の前に
学年の指導方針を担当教師の間で共有する

 3年間の指導方針を考えるときには、教師自身がまず自校はどのような学校であり、入学してくる生徒たちをどのような人材に育て、送り出していくかという学校としての理念、SI(スクール・アイデンティティ)を明確にすることが求められる。
 週5日制、新課程実施など教育環境が大きく変化する中で、新しく高校生活を始めることになる生徒たちを3年間かけてどのように育てていくのかは、SIを抜きにしては考えられないだろう。
 SIの次に求められることは、学年ごとの指導方針を固めておくことだろう。3年間を通した指導の流れを検討し、その上で各学年で行うべき指導内容を具体的に詰めていく。この作業はやはり生徒が入学してくる前に行い、指導の大枠を検討しておきたい。そうして年度末までにここまでの準備ができていれば、新学年に対する指導が十分かつスムーズに進むことになる。
 ここでもう一つ留意しておきたいことは、SI及び学年の指導方針を教師間でしっかりと共有し、生徒への対応にズレが生じないようにするということだ。共有されたはずの指導方針の解釈に、もしも教師によって温度差やズレがあるようだと、教師の足並みが揃わず、生徒に困惑や不信感を呼び起こしかねない。
 新入生への対応は、実際に学校で生徒たちの顔を見る前から既に始まっていると、改めて認識しておくことが新学年の円滑なスタートのためには必要だろう。

重要な1年1学期の指導
図
注)進研模試の1年7月から2年1月までの各回を継続して受験した約1万5000名の高校生を対象に集計。各回の成績上位25%を得意ゾーン、下位25%を苦手ゾーン、その中間を標準ゾーンとした。
※例えば、1年11月に「苦手(下位25%)→標準」の国語が「23」とあるのは、前回の模試(1年7月)を受験した際、国語の成績が苦手ゾーンに入っていた生徒の23%が1年11月の段階では標準ゾーンまで成績が上昇したことを示す。この表から、成績が上昇・下降ともに大きく変動するのは、1年1学期の指導の成果が現れてくる1年2学期であることが分かる。

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