VIEW21 2002.2  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 新入生対象の学習指導

数 学
論理的思考力、想像力を養う授業を

 1年生1学期における数学の指導では、特に以下のような点に留意したい。
 まず、高校では数学の答案は「数式の入った小論文」と見ることもできる。物事を筋道立てて書く力が不足している生徒は、数式を並べるだけでストーリー性のある答案をつくることができない。国語における読解力の低下とも関係しているのだろう。
 そこで、生徒に答案を書かせる際には、自分より数学ができない生徒に向けて書くつもりで、自分以外の相手でも理解できるように丁寧に、慎重に筋道を立てて答案作成させてみるのも良いだろう。
 また、問題を解くときは、狭い範囲にフォーカスして分析する力と、広い範囲を見て流れをつかむ力の両方が求められる。例えば、大問に当たる場合、問一は問二のためにあり、問二は問三のためにあるという流れを読んで答えを考えるような力も身に付けさせるようにしたい。漫然と問題を読み、機械的に解くだけではなかなかその力は付かない。まず全体の流れを読んでから具体的な解答に取り掛かる姿勢が重要であり、それが体感できるような授業や教材も求められる。
 最後に、最近の生徒は図形を捉える力が弱く、図が描けなくなったとよく言われる。図を描いているうちに、想像力が追いついていかないのか、途中で投げ出してしまう生徒が増えているようだ。
 言うまでもなく数学では、学年が進むにつれて、図形を捉える力は益々求められるようになる。問題を解く際には必ず自分の手で図や式をかく習慣を付けさせるなど、日々の授業や家庭学習の中での地道な努力を求める指導が新入生に対しても重要になるだろう。

英 語
4技能をバランス良く学ばせる

 英語の学習には二つの場面がある。それは、コミュニケーションの手段として英語力を身に付ける場面、そして言語としての仕組みを体系的に理解していく場面だ。新入生には、高校英語ではその両方をバランスよく学んでいくことを早い段階で理解させたい。
 中学校では現在「コミュニケーション手段としての英語力の育成」に重きを置いた授業が行われている。そのため生徒は文法的な裏付けが曖昧なまま英語を使っていることも少なくない。まず新入生に対して「もっと英語が使えるようになりたいのなら、語彙を増やし、様々な構文に接しながら英語をじっくりと理解することも必要だ」と伝え、理解させる。そしてそれを生徒に意識させながら授業を進める。教師の側も「コミュニケーション」と「体系的な理解」という二つの観点で授業にメリハリを付けることができる。
 英語に限らずすべての言語を修得するには、「読む」「書く」「聞く」「話す」という4技能を有機的に絡ませた学習が求められる。相手の意見を理解し、自分の考えを自由かつ的確に表現するためには、4技能すべてが必要となる。英語の授業が読解だけでなく作文、ディベートなど、多彩な取り組みで進められるのは、実践的なコミュニケーション力の育成を目的としているためであるということを、生徒にも意識させることが重要だろう。
 また、最近の大学入試では、社会的事象について受験生に意見を述べさせる自由英作文などが見られるようになった。道具としての英語力だけではなく、社会の一員として生きていく力を英語を通して身に付けていくという意識を、新入生に持たせたい。


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