VIEW21 2002.2  新課程への助走
 新課程で高校の「教科指導」はどう変わるのか

新課程で高校の
「教科指導」はどう変わるのか

 前号まで「週5日制に向けたカリキュラム編成の試み」と題して、全国の高校現場のカリキュラム検討状況をレポートしてきた。取材を行った各高校に共通していたのは、「カリキュラム編成の検討が終了次第、早急に校内の教科指導を見直さなくてはならない」という問題意識である。長年に渡り、多くの教師により磨かれてきた教科指導をなぜ見直す必要があるのか。教科指導に新たな工夫が求められる背景を考える。


高校の授業の枠組みが週5日制で大きく変わる

 「今後、高校の授業(教科指導)方法の見直しは避けがたい」という声は少なくない。その根拠は大きく二つに分けられるようだ。一つは週5日制による高校自体の教育環境の変化、そして、もう一つは中学校の'02年度から始まる新課程による教科指導の変化である。

週5日制の影響

 週5日制ではほとんどの高校が今までの教科指導時間数を削減している。加えて、'03年度新課程での「総合的な学習の時間」と教科「情報」の新設で、既存教科の指導時間はさらに精選されることになる。年間の授業実施回数などが変われば、今まで培ってきた教科指導ノウハウにも修正が必要となる。これまでに蓄積された、年間の授業進度や「学びの振り返り」を行うタイミングなどの判断も、再検討が必要になるかも知れない。
 週5日制を機に授業時間の変更を検討している高校も少なくない。45分、60分、65分などへの変更の他に、85分、90分といった長時間授業を設定する場合もある。もちろん、各校とも授業時間の変更に当たっては、そのメリットや問題点を十分検討した上で判断している。しかし、多くの学校では長年に渡り、50分の中での効果的な指導を追求してきているので、新しい授業時間の枠内で、今まで以上の教育効果を上げていくためには指導計画の練り直しがかなり必要になるのではないだろうか。
 また、週5日制では家庭の学習習慣が生徒の学力定着のためにより一層重要となる。今後、限られた授業時間の中で、生徒の学びへの興味・関心を掻き立て、家庭における主体的な学習につながる仕掛けを強化しなければならない。
 さらに'04年度からは原則として国立大学はセンター試験を5教科7科目で実施する方針であり、生徒の進路志望を達成させるためには、さらなる指導上の工夫が求められる。


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