VIEW21 2002.4  特集 必要とされる「総合人間力の育成」の視点

新課程対応の現状と課題

 2003年新課程のスタートまで、あと1年を切った。教育環境の大きな変化が予想される中、各校はどのような課題認識を持って、新課程を迎えるのであろうか? 今号では、カリキュラム編成の大前提である「総合人間力の育成」という観点を確認した後、カリキュラム編成に関する最新の全国調査の結果や、事例校における検討過程の詳細についてもレポートする。


1 Opinion
総合人間力を育てるカリキュラムの編成

Theme 1
教科カリキュラム編成の現状

 高校、とりわけ進学希望者を多数抱える進学校における教科カリキュラムの編成は、大学入試と切り離して考えることは極めて難しい。1999年度の全国普通科高等学校長会のアンケート結果を見ると、「大学入試に対応し得る学習進度をとる」は肯定率82%、「国立大学前期試験の出題レベルに対処し得る学習レベルを確保する」は肯定率83%となっている。この要件を満足させるため、「国語・数学・英語は原則必修とし、増単位を認める」の肯定率は70%で極めて高いことが、この間の事情を物語っている。これは生徒・保護者や地域社会が、学校の存在意義(SI=スクール・アイデンティティ)の核として、大学進学実績を位置付けていることを示しており、教育課程の編成は教科学習の「進度」「水準」「科目選択」といった3つの束縛の下で構想され実践されている。


写真
ベネッセ文教総研所長
高田正規
Takata Masanori

次ページへ>

このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。

© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.