これらのことは、本来なら中学校の段階で身に付けておいてほしい基本事項ばかりだ。だが土持先生は「今の生徒はその基本さえ怪しい」と言う。
「体験講習会は今回で4回目なのですが、年を経るごとに生徒への説明の仕方が丁寧になっていますね。これは言わなくてもいいだろうというレベルのことを、生徒は知らなかったりするのです。他の行事も多い4月の時期に、体験講習会に3日間も割いてしまうのは確かに負担もあるのですが、この時期に予習方法や授業態度の基礎・基本を習得させておくことが、その後の高校3年間の学習をスムーズに進めることにつながるのです」
また、「学習方法体験講習会」は、教師のスキルアップのための取り組みにもなっているようだ。生徒に配るプリントや学習方法のマニュアル(資料1)は、教科ごとに1年生を担当している教師全員で話し合いながら作成している。その過程において、生徒の実態や、ここまでは生徒を引き上げたいという学習到達目標を、互いに確認している。長友先生もこう語る。
「体験講習会は、生徒の立場に立った分かりやすい授業、適切な課題の出し方を真剣に考えるよい機会になっていますね」
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