「21世紀COEプログラム」によって10分野ごとに大学院博士課程レベルの研究機関が選ばれるといった文部科学省の施策は、研究者=エリートの育成を目指すものであるが、国民のコンセンサスは概ね形成されているように思える。高校におけるSSH構想も、全体として好意的に受け止められ、研究開発校の教育活動プログラムに学び、優れた施策は導入してみようという動きも既に見られている。
しかし、高校教育現場が当面している課題は「普通」の生徒に対して「未来の人生を支えるための教育活動」をどう展開するかというテーマである。そのためには、「日本教育の現状」が指摘する12項目が10数年を経た現在、どうなっているのかを学校自体が自己点検・自己評価することによって、「普通の人」に対する教育プログラム=総合的カリキュラム編成への方策具体化につなげることができるのではなかろうか。
Opinion 2 学校をより良くするための評価活動
SI構築の動きと取り組み
先に指摘した教育課程審議会の答申に示された自己評価の内容と観点を資料2として整理した。
このような観点が例示されたことは、学校の教育活動についての説明責任を学校自体に委ねることを示したものだと言える。
この背景には、これまでの学校は(1)閉ざされた環境の下で、ともすれば教師側の論理が優先され、保護者や子どもに対して教育活動にかかわる説明責任が軽視されがちであった。(2)校内での様々な「情報」を隠し合うという体質が存在することに対する反省がある。当面する課題を開示し、より良い解決に向けて保護者や地域社会も含めて「学校教育計画」の策定に当たるべきことを示したものであると言えよう。
学校経営の改善に役立つ、言い換えると学校をより良くするための自己点検・自己評価は、SI構築をめぐる高校現場の自律的取り組みの中でここ数年展開されてきた。
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