VIEW21 2002.10  特集 進む「理科離れ」と理科教育の展望

―理科好きの生徒をどう育成するか?

進む「理科離れ」と理科教育の展望

 「理科離れ」の深刻化が叫ばれている。日本の科学技術研究や産業の基盤を揺るがす深刻な問題として、教育界のみならず産業界からも強い危機感が表明されるようになった。政府・文部科学省は、この問題に対してどのように解決を図ろうとしているのだろうか。また、高校教育の現場では、どのような対応が模索されているのだろうか。「理科離れ」の現状と、教育の現場で求められる対策を探る。


Part 1
「理科離れ」の現状

 Part1では、「理科離れ」の現状をレポートすると共に、経済界の意見を紹介する。

【1】「理科離れ」の現状とその背景、解決の糸口を探る

成績は良くても理科が好きになれない
日本の子どもたち

 日本の子どもたちの理科や算数(数学)の学力は長年にわたって国際的にトップクラスであると言われてきた。2000年のOECDによる32か国対象の学力調査でも、数学は1位、科学的リテラシーは韓国に次いで2位という結果が出ている。しかし、国立教育研究所(現国立教育政策研究所)による89年以来の追跡調査のデータによれば(図1)、「理科は面白い」と思う生徒の割合は、学年が上がるごとに減少し、高校生になると50%強にまで減少している。また、99年のIEA(国際教育到達度評価学会)による中学2年生を対象とした国際比較調査(図2)でも、「理科の勉強は楽しい」という生徒は21か国中、韓国に次いで低く、「理科は生活の中で大切である」「将来、理科を使う仕事に就きたい」という生徒の割合については最下位という結果が出ている。
 つまり、日本の子どもたちは、理科の成績は良くても学年が上がるにつれ理科を面白いと思わなくなり、生活や将来の職業とも結び付きにくくなっているのである。

図

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