VIEW21 2002.10   VIEW'S TOPIC

「辞書を使った指導」考

【1】新潟県立阿賀黎明中学・高校

公立一貫校で見えてきた
中高接続の英語指導

 全国的に公立の中高一貫校が徐々に増加している。新潟県立阿賀黎明(あがれいめい)中学・高校は今年4月、津川高校から改称し、同時に、県立中学校を併設、県内初の併設型中高一貫校として再スタートを切った。
 今回は特に、教科指導における中高接続についてお話をうかがった。

中学生に教えることになるとは思わなかった(笑)

 山賀淑雄先生は、これまで18年間ずっと高校生を教えてきた。それが、今年の4月、誕生したばかりの新潟県初の併設型中高一貫校である阿賀黎明中学・高校に赴任することとなり、中学生も指導することになった。「中学生に教えることになるとは夢にも思わなかった」と山賀先生は笑う。
 「今までは、中学における具体的な指導内容については、よく知りませんでしたから、『高校生の段階で、中学の文法が十分に身に付いていない』『辞書が引けない』などの面が大変気になっていました」
 山賀先生は、高校の教師が期待するものと、中学での学習との間にはズレがあるように感じていたという。それが阿賀黎明中学・高校に移り、自らも中学生を指導するようになった。
 「中学生を教えることで、中学・高校の接続で取り組むべきことが、いろいろ見えてきました」

中学生を教えて分かった中高接続の課題

 「会話中心の指導と、読み書きの指導とのバランスが大切です」と山賀先生は語る。
 「新高1生には、読んだり書いたりという経験が不足しているように感じますね」
 そこで阿賀黎明中学・高校では、高校での学習の導入として多読、速読を指導しているという。
 「高校の導入時には、読む、書くという経験を意識的に積ませます。また、高1生に英語を教えていると、基本的文法力が不足してきていることが分かります。中には『be動詞』と『一般動詞』の区別で苦労している生徒もいます。中学で学んだ事柄にその働きを教え、ルールとして定着させる。これが文法です。高校で力を付けようとするならば、文法の知識は不可欠です。会話中心の指導の場合、最後に書いてまとめる作業が必要です。これをきちんとやっておかないと、後で生徒が苦労します。生徒が進学を意識したときに苦労しないようにしたいと思っています」


写真 写真
新潟県立阿賀黎明中学・高校教諭
山賀淑雄
Yamaga Yoshio
教職歴19年目。進路指導部長。高校3年担任。「熱い情熱を持って自分の夢を語り、チャレンジできる人間を育成したい」
新潟県立阿賀黎明中学・高校教諭
小林 穣
Kobayashi Minoru
教職歴8年目。中学1年学年主任。「自分から勉強する気持ちを持てる生徒を育てたい。教員はディレクターだと考えています」

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