VIEW21 2002.12  リーダー群像
 現状をどう捉え、どう行動したのか

株式会社カワムラサイクル社長 村山民生

自転車から車イスへの転換プロジェクト

チャレンジすることを恐れていては何も生まれてこない

 兵庫県神戸市に本社を置く株式会社カワムラサイクル。車イス市場で3割のシェアを誇り、福祉業界で今後、最も成長が期待される企業の一つである。その会社の社長を務めるのが村山民生氏だ。
 「大学を卒業後23年間、ずっと証券会社に勤めていたんです。車イスをつくる会社の社長になるなんて思ってもみませんでした」と村山社長は笑う。
 カワムラサイクルと村山社長との出会いは1989年。大手証券会社の大阪支店で企業の資金調達などにかかわっていた頃である。当時のカワムラサイクルは、海外への輸出も手掛ける老舗自転車メーカーだった。
 あるとき、大手スポーツ用品メーカーが自転車部門を立ち上げることになり、カワムラサイクルに資本参加することになった。その際に、両者の掛け橋として仕事に携わったのが村山社長だったのだ。しかし、93年頃からカワムラサイクルの運命は暗転。大手量販店が自転車販売の主力を占めるようになり、町の自転車屋を中心に商品を卸していたカワムラサイクルのシェアは徐々に低下し始めた。さらに、円高の影響で低価格の自転車が次々と輸入され、カワムラサイクルの経営は急速に悪化していく。  「94年に大手スポーツ用品メーカーより自転車事業から撤退したいという連絡をいただきました。その頃私は既に東京本社の勤務になっていたのですが、週末を使って関西に足を運び、カワムラサイクルの再建計画を手掛けることになったのです」

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村山 民生
1948年生まれ。熊本県出身。大学卒業後、大手証券会社に23年間勤務、カワムラサイクルの再建計画を手掛ける。95年、大手メーカーへの転職を経て、再びカワムラサイクルの再建にかかわる。同年、カワムラサイクルの商号・生産設備などの営業権を得て、社長に就任。



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