VIEW21 2003.2  コミュニケーション新時代
 生徒との時間をより大切にするために

校内IT化が
進路と学習指導に新しい波を生む

 学力の推移や学習の問題点を客観的・視覚的に分かりやすく提示し、保護者の信頼を得ながら効果的に進行する三者面談。生徒がパソコンを自由に使いこなし、主体的に学習を進めていく授業。校舎の改築計画と並行しながら、校内の情報化を推進していった成果は今、目に見える形になりつつある。玉川聖学院中・高等部の改革の現状をレポートする。


東京都・私立玉川聖学院中・高等部

情報教育推進委員会が
校内情報化へのグランドデザインを構築

 今後の教育を考えていくとき、情報をどう捉えて自分のものとし、どのように整理・統合していくかが私たちに問われている大きな課題――このような問題意識の下、情報環境の整備に全校的に取り組み、積極的に情報教育を推進し、成果を上げているのが玉川聖学院中・高等部だ。東京・自由が丘にある同校は、中等部502名、高等部534名の生徒を擁し、中高一貫教育を推進するミッション系スクールである。
 「15年ほど前から進路部にパソコンを導入し、入試処理や進路処理、成績処理等を行うなど情報化には先進的に取り組んでいましたが、当時のパソコンは操作面でもコスト面でも敷居が高く、操作できる教師も数名という状態でした」
 こう語るのは情報教育推進委員長の石井俊二先生。その後、同校の基幹業務を高性能なオフィスコンピュータで一括処理するシステムを立ち上げたり、特別授業でパソコン講座を行ったりしていたが、「全校的な情報化」と形容できるレベルではなかった。パソコンの有効性を広く皆に知ってもらいたい、コンピュータ室を早く完備したい――その思いが実現に向かい始めたのは、1998年のことだった。
 「この年、新学院長にバーナード・バートンが就任しました。学院長は、『これからの時代、情報化は不可欠。生徒が自在に使えなくては』と考えていましたし、何より自分で電子メールやインターネットを利用したかったみたいです(笑)」  同時に、校舎の改築計画が進行していたことも幸いした。学院長の意向を受け、情報教育推進委員会(パソコンに習熟している8名程度の教師で構成)が、情報化のためのグランドデザインを策定していった。主な内容は、コンピュータ室の設置、図書館の情報化(情報センター)、教職員1人1台のパソコン導入、そして光ファイバー等による校内LANの構築であった。
 現在、第2期工事まで終わり、コンピュータ室や情報センターをはじめとした施設はフル稼働している。先端のIT環境はどう活用され、どのような効果を生み出しているのか。進路指導面と学習指導面を中心に、見ていくことにしよう。


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